ECB理事会が終了してドラギ総裁が記者会見し、日本を名指しはしなかったが通貨高のリスクに言及するなどユーロ高を牽制してユーロが急落。そのあおりでNYダウは42ドル安になった。8日朝方の為替レートはドル円は93円台後半で前日と同水準だったがユーロ円は125円台半ば。日経平均は177.10円安の11179.97円で始まった。すぐに11200円台に乗せたのはマイナーSQ算出日でオプション価格の刻み11250円を意識した動き。だがSQ推計値は午前9時10分過ぎ、11151.92円と予想外に低い。前場は押し目買いが入り11300円台直前まで戻しても、再び低迷して11200円を割り込む。前週までは金曜日は午後2時台に急騰していたが、この日は全く逆。ずるずると下げ続け結局、203.91円安の11153.16円で今週の取引を終えた。
為替は小幅の円高でも、「利益確定売りの金曜日」に「日本の三連休前」「中国の春節休暇前」が加わると、こうなるようだ。日経平均は前週の終値を上回れず、連続上昇は12週でストップした。TOPIXのほうは全体の約4分の3の1298銘柄が下落して-11.83だったものの、終値は957.35でこちらは13週連続上昇記録更新中。この日も商いは42億株、2兆7000万円と勢いは衰えない。
業種別騰落率でプラスだったのは空運と非鉄金属の2業種だけ。空運はJAL<9201>が200円高で連日の再上場来高値更新。全日空<9202>は9円高で売買高7位に入った。マイナス幅が大きかったのはガラス・土石、海運、パルプ・紙、鉱業、電気機器などだった。
自動車株で良かったのはトヨタ<7203>で80円高。売買代金3位。マツダ<7261>は今日も売買高、売買代金でトップだったが株価は11円安。売買代金の2位に入ったソニー<6758>は、前日発表された決算がテレビ事業の赤字縮小、10~12月期の営業黒字転換など明るい兆しもあるが足元の深刻な状況に変わりなく、通期予想の最終黒字1300億円は据え置いても154円安で下落幅は10%を超え、不名誉な値下がり率ランキング4位。DENA<2432>は朝方はプラスだったが196円安と急落し、売買代金7位と売り浴びせられたから、決算内容が良くても油断ならない。
9期ぶりの減収、7期ぶりの営業減益という決算を発表したジャスダックの日本マクドナルドHD<2702>は47円安。原田泳幸社長は今年中の値上げを示唆し、デフレ退治のアベノミクスのもとデフレの象徴「100円マック」は消え去る運命か。三大メガバンクが揃って下落し、ニコン<7731>も続落した。10月をメドに合併すると発表した日鐵商事<9810>は9円高で、住金物産<9938>は18円安。親会社の新日鉄住金<5401>は2円安だった。
株価上昇組では、住友金属鉱山<5713>が決算だけでなく中期経営計画も好感されて昨年来高値をつけ107円高。決算で経常赤字が縮小し通期見通しも赤字幅縮小のミツミ電機<6767>は54円高で値上がり率ランキング7位。ヤマダ電機<9831>も200円の大幅高になった。三井不動産<8801>は11円高、NTT<9432>は80円高、日揮<1963>は36円高。証券セクターは野村HD<8604>は売買高3位、売買代金5位に入りながら2円安だったが、光世証券<8617>が値上がり率ランキング9位、マネックスG<8698>が同10位に入った。両銘柄とも昨年来高値を更新している。
今日の主役は富士通<6702>。前日の決算発表では山本正已社長の出席が事前に予告され「重大発表か?」と報道陣が詰めかけた。通期の950億円の最終赤字と無配の見通し、システムLSI事業のパナソニックとの統合とともに飛び出したのは、9500人を削減するというショッキングな発表。社長自ら「これで損失を出し切る」「来期以降V字回復で復配」と説明した。一夜明け株式市場では、「ここまでリストラすれば業績は回復する」「いや、市場環境からみて簡単ではない」と投資家の思惑が交錯し、前場で株価がいったん33円高まで上昇しながら3円安まで急落する展開を見せたが結局、21円高で引けた。事業統合の相手のパナソニック<6752>は41円安だった。連結で約17万人の従業員のおよそ18分の1が会社を去る大リストラで、投資家は喜んでも、富士通の社員は泣いている。(編集担当:寺尾淳)