アベノミクスの目玉の一つが働き方改革だ。既に多くの企業が働き方改革に取り組んでいるようだが、その主要な課題は労働時間の短縮だ。取り組みが始まってからある程度の期間が経過し、その成果を実感するケースも出てきているようである。しかし、一方でその副作用を感じるケースも出始めている。
しゅふJOB総研が「働き方改革による労働時間と家庭の収入」について働く主婦層を対象にアンケート調査を実施した。「働き方改革が推進されて労働時間減少を実感することがあるか」という問いに対しては、24.6%の者が「ある」と回答し、75.4%の者が「ない」と回答しており、4分の1近くの者が労働時間の減少を実感しているようだ。
実感した理由について尋ねたところ、「時短勤務の求人が増えた」が46.9%で最も多く、次いで「自分の労働時間が短縮した」が30.3%、「配偶者またはパートナーの労働時間が短縮した」が29.1%、「周囲や世間の雰囲気からそう感じる」25.1%、「プレミアムフライデーの実施」10.9%、その他4.0%となっている。
働き方改革による収入への影響については、「配偶者またはパートナーの収入が増えた」が1.1%、「自分の収入が増えた」が2.5%で両者を合わせると3.6%、「配偶者またはパートナーの収入が減った」が14.9%、「自分の収入が減った」が13.8%で両者を合わせると28.7%、「影響はない」が65.9%であった。「増えた」3.6%と「減った」28.7%を比べると8倍近く「減った」方が多い。「労働時間が減った」と答えた者のみでは家庭の収入が「減った」と答えた者は73.0%にものぼる。
フリーコメントを見ると、「働く時間を常に気にしていかなければならなくなり、収入は減る傾向になっている」(50代、パート)、「残業時間は減った分、基本給が上がれば一番いいのだが、現実は基本給が上がらず、ボーナスカットだから結局は収入が減った」(40代、主婦)などが収入減少の理由として挙げられている。
しゅふJOB総研の川上敬太郎所長は「仮に今の仕組みのまま労働時間減少が浸透していくと、7割以上の家庭で収入減が発生してしまう可能性がある。収入の減少は消費の冷え込みにもつながる。労働時間を減少させつつ、給与は維持もしくは上昇させていく仕組みを作ることが、働き方改革を推進する上で重要な課題だ」と指摘している。(編集担当:久保田雄城)