また家計への打撃だ。6月15日、損害保険各社で組織される損害保険料率算出機構は火災保険料の設定基準である「参考純率」を平均5.5%引き上げたと発表した。損害保険料率算出機構の参考純率の見直しは2014年以来4年ぶりとなる。
損害保険料率算出機構が4年ぶりに参考純率を引き上げた主な原因は自然災害の増加だ。火災保険は火災による家屋の損傷・倒壊だけではなく水災や風災などの自然災害も補償の対象となる。近年日本では大型台風や竜巻、大雨、大型火災などの自然災害が急速に増加し、損害保険会社の支払う保険金もそれに比例して増加してきた。さらに家屋の老朽化が進行し、風雨に対してもろくなっていることも保険金の増加に拍車をかけている。そのため損害保険各社が火災保険料の値上げに踏み切ることになる模様だ。今回引き上げられた参考純率に基づいて19年度に火災保険料を引き上げる方向で検討を始める。
今回の参考純率の引き上げは都道府県や建物の造りによって異なるため、自分の家の火災保険料がどのくらい上がるのかを予測するのは難しい。実際「鉄筋コンクリート造りの共同住宅、保険金額が建物2,000万円、家財1,000万円」とした場合、愛知県ではなんと40.1%の引き上げ率となる。愛知県を含む東海地方、四国地方南部、九州地方南部で懸念される南海トラフ地震が引き上げ率の高さの要因だろう。今後30年のうちにマグニチュード8から9クラスの地震が起こる確率が70パーセント程度あるとされている。損害保険各社としても今後起こる可能性の高い地震、さらにそれに伴って生じる火災に備えての保険料引き上げに踏み切らざるを得ないのが現状だ。
とはいえ火災保険料を支払う側としては、保険料の引き上げへの対策が必要になる。火災保険料引き上げ前の火災保険への加入、補償内容の見直しなど、保険料を抑える努力が求められるだろう。また損害保険会社が提供している割引を最大限利用するのも保険料を抑える一つの方法となる。保険料の引き上げが日本経済に与える影響も懸念されるが、消費者としても賢い火災保険の利用方法の検討が必要だろう。(編集担当:久保田雄城)