自民党は11日、参院政治倫理・選挙特別委員会で参院の定数を「6増」する公職選挙法改正案を採決し、本会議にかけ、同日中に参院を通過、衆院に送る方針だ。
10日の参院政治倫理・選挙特別委員会では立憲民主党と共同で対案を出した希望の党の松沢成文参院議員(元神奈川県知事)が自民案に「合区であぶれる候補者を救済するような身勝手なやり方に大きな憤りを感じる」と述べ「自民案は不備が多く、不公正な制度で、認めてはならない」と強調した。
松沢氏は「自民案が出てきたプロセスにも納得いかない」と述べ「選挙制度は民主主義の基盤であり、大きな政党が一方的に決めるというのではなく、それぞれの政党で議論を重ね、コンセンサスを目指すことが大前提」と訴えた。
そのうえで、自民案について「選挙制度委員会で全く議論されなかった案が突然に自民党が出してきて、これで委員会に諮って決めたいから、ほかの党も案を出しなさいと、一方的なやり方で自分たちの案をのませようとする、プロセス自体に問題がある」と指摘。
また「日本の人口が減っていく中、議員数を増やすことに国民の理解が得られるのか。国も地方自治体も財政が厳しい。地方自治体のほとんどは議員削減に取り組んでいる。衆議院も議員を減らした。参議院だけが突然、6議席も増やすなんて、国民に認められるのか。疑問だ」と提起。
自民案の中身についても特に「比例代表の中に、むりやり拘束性を組み込み、使うかどうかは各政党に任せるというようなことになっている。こんな制度にすれば国民は理解できない。不備が多く、不公正な制度であり、認めてはならない」と述べた。
立憲民主党の蓮舫参院幹事長も会見で「消費増税を含め、さまざまな負担を国民にお願いしながら、参院議員の定数を6人増やすという案そのものに理解が得られないのではないか」と定数増は国民の理解を得られないと指摘した。
蓮舫議員は10日、記者団に「国民の理解の得られないカジノ法案、公職選挙法改正案に強行に国会運営を進めるのであれば、それを止めるのは良識ある議会人の対応だ」と強くけん制した。(編集担当:森高龍二)