IR法案、相次ぎ問題点を野党が指摘

2018年07月16日 08:01

 政府・自民党が今国会で成立を目指す「カジノ」を含む統合型リゾート施設整備法案(IR法案)。15日のNHK日曜討論で自民党の愛知治郎参議院議員副会長は「国際会議場や家族で楽しめるエンターテインメント施設、収益の原動力となるカジノ施設を一体的に運営することに大きな意義がある」とし「総合的なリゾート施設で、観光や雇用と言った面で大きな効果が見込まれる。ギャンブル依存症対策法もできた」と強調したが、野党からは多くの問題点が指摘された。

 国民民主党の舟山康江参議院国会対策委員長は「刑法で禁じられているギャンブルを民間がやる。違法性が本当にないと言えるのか、ギャンブル依存症問題や治安対策、さらに、カジノ業者が『貸金事業』もできるなど、時間をかけ審議しなければならない」と拙速に成立させる法案ではないと政府・与党に十分な審議を求めた。

 日本共産党の山下芳生副委員長も「立法事実にも疑義が生じている。カジノ関係業者から自民党議員ら(国会議員15人)がパーティー券を購入してもらっていた。西村康稔官房副長官ら券を購入してもらっていた議員はカジノ法案のもとになったカジノ推進法の提案者だ。西村氏らには参考人として国会に来ていただく必要があるのではないか」と提起した。

 そのうえで「カジノは他人のお金を巻き上げるだけで経済効果をカウントするような代物ではない。雇用は増えるといったが、何倍もの人の人生が壊される」とギャンブル破綻や家庭崩壊へのリスクを指摘。また「依存症対策で(週3回の入場規制も)週3回入れば十分、依存症だ」と疑問視した。

 自由党の森ゆうこ参議院会長は「カジノ業者は貸金業ができるが、貸金業法の対象外で、一定のお金を預託すれば際限なく借られることになる。人生壊される方が続出するのではないか」と懸念。

 社会民主党の福島みずほ副党首は「弁護士の視点から見ても、どうして民間がギャンブルして賭博罪にならないのか理解できない」と指摘、ギャンブル依存症の方の話を聞いてきたとしたうえで「本人も苦しい。離婚や自殺にも追いやられる。人を不幸にする可能性が非常に高い、しかも(施設利用者は)日本人が7~8割になると言われるものを、なぜつくるのか、わからない。誰のための政治か」と反対した。

 一方、希望の党の松沢成文参議院議員団代表は「地域活性化のために様々チャレンジできる機会を作ってあげるべきだと思っている。ただ、最終的には地方議会がノーといえる」とした。その一方で「依存症対策で入場が週3回までとしても、(24時間以内であれば12時間で出て、また入っても『1回』のカウントになる)こういうカウントでは週に6日行けることになる。こんな中身では依存症を助長する。だから政府はこうした部分の修正にきちっと対応してほしい」と述べた。

 公明党の西田実仁参議院幹事長は「入場規制や入場料を高めに設定するなどしてきた」と述べ、日本維新の会の東徹総務会長は「海外からたくさんの観光客を来ていただくうえで必要だ」とした。

 立憲民主党の蓮舫副代表は「自民・公明は豪雨災害復旧のさなかに強行採決を絶対にやめていただきたい」と訴えた。政府・与党は今国会(22日まで)で成立させる方針だ。