現在、日本経済は世界経済の回復傾向の中、緩やかな回復を続けている。マクロ指標は消費など一部で一服感が見られるものの全体としては上昇傾向を維持し、求人倍率も極めて高い水準にあり雇用統計も完全雇用の状態だ。
経済産業省は各地域の経済動向を把握するために各地方経済産業局が四半期ごとに行っている地域経済産業調査の結果を取りまとめ、先月26日「平成30年4-6月期地域経済産業調査」としてこれを公表した。
全体の景況判断は「緩やかに改善している」と前期からの据え置きとなった。生産については汎用・生産用・業務用機械が半導体関連で、電子部品・デバイスが自動車向け分野で好調など堅調に推移していると判断。設備投資は生産性向上や省人化のための投資で積極的な動きとなっており、雇用は有効求人倍率が高水準で推移、個人消費は高額商品やインバウンド消費で好調な一方、衣料品が低調となっている。
地域別に10地域の景況判断を見ると、北海道が「持ち直している」、東北が「一部に弱い動きがみられるものの、 緩やかに持ち直している」、関東が「改善している」、北陸が「改善している」、東海が「改善している」、近畿が「緩やかに改善している」、中国が「持ち直している」、四国が「緩やかに持ち直している」、九州が「緩やかに改善している」、沖縄が「改善が続いている」で、全ての地域で据え置きされた。
生産を鉱工業指数より作成された指数で地域別に比較すると、北陸が132.6で引き続き高い水準でトップとなっており、東海が122.8と前回同様に2位となっている。有効求人倍率でも、全国の倍率が1.6に対して北陸では1.98倍と極めて高い水準でトップ、次いで1.93倍、中国の1.84倍と続いている。最も低い沖縄でも1.12倍と1倍を大きく上回っている。
一方、消費動向を表す小売業6業態販売額前年同月比の推移では、全国平均で0.4%の減少となっており、地域別にプラスの値を示しているのは北海道の0.4%の増加と東海の0.1%の増加、北陸の0.2%の増加の3地域のみで他の地域は全て減少となっている。もっとも低いのは東北の1.7%の減少である。
生産については全体として堅調の中、地域によって多少のバラ付きも見られるが、雇用と消費については10地域とも人手不足、消費弱含みで全国ベースと同じ様相を呈している。(編集担当:久保田雄城)