想定外の自然災害が頻発している。2018年7月6から8日にかけての集中豪雨は中国・四国地方を中心に甚大な被害をもたらし、気象庁はこれを「平成30年7月豪雨」と命名した。豪雨による甚大な被害は広域に及んでおり、電気・水道をはじめとするライフラインや物流の復旧には今後多くの時間がかかる見通しだ。
被災地域の経済的なダメージにも大きなものがあるが、それは災害それ自体による直接的なもののみではなく、企業の操業再開が大幅に遅れるなど、企業経営に大きな影響をもたらし、さらに雇用にも影響が及んで、地域経済全体の衰退にもつながりかねない危険性が出てきた。
13日、東京商工リサーチが「平成30年7月豪雨」被災地域企業調査の集計結果を公表している。ここで被災地域とは、内閣府防災担当が9日に発表した「平成30年台風第7号及び前線等に伴う大雨による災害にかかる災害救助法の適用について」で指定された地域で、岡山県倉敷市や愛媛県宇和島市など西日本を中心とした8府県58市36町4村が対象だ。
集計結果によれば、被災地域に本社を置く企業は17万2128社存在する。このうち中小零細企業と見なせる資本金1億円未満の企業は個人事業主も含め17万854社で全体の99.2%を占めている。従業員数を見ると、全企業では175万1534人で、このうち資本金1億円未満の企業では127万4391人で72.8%にも達している。
業種別の企業数では、「サービス業他」の5万9000社が全体の34.2%を占め最も多くなっており、次いで建設業が3万6517社で同21.2%、小売業2万1176社で12.3%、製造業が1万8378社で10.6%という順になっている。決済業務や保証業務に関係する金融・保険業は、被害が大きかった広島県・岡山県・愛媛県の3県で見ると構成比が1%程度ではあるものの、これは本社住所のデータのみであり、支店の機能に関して詳細は判断できない。
被災地域に存在する企業のほとんどが資本力の弱い中小零細企業だ。災害によって直接被害を被った企業の割合や被害額についてはこの報告書では不明であるが、地域の復興が長引けば経営体力のない中小企業の経営に大きな影響が出てくることは間違いない。これらの従業員は全体の7割を超えており経営悪化によって従業員の雇用にも影響が出てくることは確実だ。政府の機動的な支援が期待される。(編集担当:久保田雄城)