ソニー生命保険と横浜国立大学 大学院国際社会科学研究院は「ダブルケアに関する調査」をインターネットリサーチで実施した。
ダブルケアとは子育てと親や親族の介護が同時期に発生する状態を指すが、そのダブルケアに関わっている(いた)全国の30歳から55歳の男女(1,000名)に、親・義親の世話・見守り・介護に、どのように関わっているか(いたか)を聞いたところ、「必要に応じて手伝っている(いた)」が最も多く47.9%、次いで、「愚痴を聞くなど精神的なケアをしている(していた)」が34.9%、「定期的に手伝っている(いた)」が22.9%、「中心となって世話・見守り・介護をしている(していた)」が20.5%だった。必要なときに手伝いをしているという人が多いようだ。
男女別にみると、「愚痴を聞くなど精神的なケアをしている(していた)」は男性では27.4%だったが、女性では42.4%。話や愚痴を聞いてストレスを減らすなど精神的ケアをしている女性も多いようだ。また、現在、ダブルケアに直面している人について、親または義親との同居状況別にみると、同居している人(123名)では、「中心となって世話・見守り・介護をしている(していた)」が41.5%と同居していない人(20.5%)より高くなったほか、「定期的に手伝っている(いた)」(同居31.7%、非同居24.3%)や「経済的援助をしている(していた)」(同居27.6%、非同居11.4%)でも同居している人のほうが高くなる傾向がみられた。
全回答者(1,000名)に、これまでにダブルケアを理由に仕事をやめたことがあるか聞いたところ、「はい」10.0%、「いいえ」90.0%となり、ダブルケアによって仕事をやめなければいけなかったという人がいることがわかった。男女別にみると、ダブルケアを理由に仕事をやめたことがある人は、男性では8.4%、女性では11.6%である。
また、性年代別にダブルケアを理由に仕事をやめたことがある人の割合をみると、30代男性12.0%、40代男性9.0%、50代男性4.2%となっており、男性では若い年代ほど高くなっている。他方、女性では、30代女性(14.5%)と50代女性(13.2%)では1割半となっており、40代女性(7.2%)に比べて高くなっている。
ダブルケアを理由に仕事をやめたことがある人(100名)に、ダブルケアのどのようなことが仕事をやめる要因になったのか聞いたところ、「子どもが保育園に入れず両立できない」が最も多く36.0%、次いで「職場が両立しにくい環境」が30.0%、「親(義親)が介護施設に入れず両立できない」が27.0%である。
男女別にみると、男性では「子どもが保育園に入れず両立できない」(50.0%)が1位だったが、女性では「職場が両立しにくい環境」(39.7%)が1位になっている。ダブルケアの負荷は、女性の社会進出の妨げになっていることが、この結果から示唆されると言っていいだろう。(編集担当:久保田雄城)