企業が効率化を目的として人工知能を導入するケースが増えてきた。国内の主要企業121社を対象に行われた調査では、人工知能を導入している企業は47パーセントに上った。今後導入する具体的な導入計画のある企業を合わせるとその割合は全体の7割程度にもなる。将来的には人が行っている業務の一部を人工知能が代替することになりそうだ。
人工知能によって業績を伸ばしている企業は少なくない。家具通販サイトの中には人工知能導入後、たった1ヶ月で売上が14パーセントも伸びた。今年に入って導入試験が行われているタクシー需要予測システムでは平均売り上げが20.4パーセント上昇したという結果もある。人工知能の導入によって業務の効率化が進むことは確実で、今後も導入もしくは導入を検討する企業は増え続けることになるだろう。加えて人材不足が深刻化する国内企業は、人材不足を補完する意味でも人工知能の導入が急がれる。実際2016年に総務省が企業に実施したアンケートでは人工知能導入の目的が労働力の補完・省力化と答えた企業が4割程度であった。
しかし人工知能の導入に不安を覚える労働者も少なくない。つまり人工知能が人の業務を代替することによって雇用が破壊されるのではないかと思っているのだ。ところが意外なことに、17年に世界規模で行われた調査では、人工知能導入によって雇用の新規創出が認められたと答えた企業は全体の8割を超えた。今まで人が行っていたルーティンワークやデータの管理などを人工知能に行わせ、新たな価値を持った業務に人員を充てることによって、業績を伸ばすことができるというわけだ。したがって人工知能導入によって雇用が減るということは考えにくく、企業にとっても労働者にとってもメリットが大きいと考えられる。
国内の企業の人工知能導入の動きは活発になってきているとはいえ、まだまだ伸びしろがある。特に業界別の導入率の格差は広がるばかりだ。電気通信分野での人工知能導入をリードしているが、介護分野や製造分野での導入はまだまだ進んでいない。今後は業界の枠を超えて、人工知能導入についての情報交換や技術協力が必要になるだろう。(編集担当:久保田雄城)