厚労省が2017年「労使間の交渉等に関する実態調査」の結果の概況を公表。労使関係の維持についての認識では「安定的」が89.1%。正社員以外の労働者の組合加入資格について「資格あり」と回答した組合は4割以下。
非正規の社員あるいは職員と呼ばれる労働者の数は、今のところ就業者全体の中での比率は増加してはいないというものの、就業者全体の増加傾向に比例し、その数は増加傾向にある。非正規労働者の中心は主婦層などのパートタイマーや再雇用などで働く高齢者である。これらの層は今後ますます数が増大していくと見込まれる。パート労働者の正社員化という動きもあるが、非正規の労働者は一般に労働組合への参加が難しく、それ故に雇用が不安定になりやすい。雇用の不安定は生活の不安定につながりマクロな消費購買力の低下にもつながりかねない。非正規労働者の労働組合への参加の問題も日本の労働市場での大きな課題である。
厚生労働省は14日、「平成29年労使間の交渉等に関する実態調査の概況」を公表した。この調査は労働組合を調査対象に労使関係に関する活動の実態等を明らかにすることを目的に行われたもので、回答された状況は2017年6月30日現在のものである。
調査結果によれば、非正規の労働者がいる事業所において非正規に「組合加入資格がある」と答えている労働組合は、 「パートタイム労働者」は資格ありが35.2%、「有期契約労働者」で37.0%、「派遣労働者」が7.4%、「嘱託労働者」38.4%となっている。パートタイム労働者と嘱託労働者で前年に比べ増加傾向が見られるものの、いずれかの雇用形態でも非正規労働者には「加入資格なし」と答えている労働組合は6割以上に達している。
調査期間の1年間に「非正規の労働者に関して使用者側と話合いを持った」と回答した労働組合は本部組合と単位労働組合の合計で46.3%存在する。労使間の話し合いの事項についてみると、「派遣労働者を除く非正規労働者の労働条件」が32.8%で最も高くなっており、次いで「派遣労働者を含む非正規労働者の正社員への登用制度」が26.3%、「有期契約労働者の雇入れに関する事項」17.9%という順になっている。
最も多かった「非正規労働者の労働条件」について具体的な内容を見ると、「賃金に関する事項」が 27.1%と最も多く、ついで「福利厚生に関する事項」が16.8%となっている。もっとも多かった「賃金に関する事項」のうち「正社員との同一労働同一賃金に関する事項」は12.8%となっている。
組合加入資格については6割以上の組合で制度が整っていない状況だが、半数近い組合で非正規労働者に関しても対応が行われているようである。(編集担当:久保田雄城)