東京都中野区において、同性カップルの「パートナーシップ制度」がスタートする。パートナーシップ制度は2015年導入の東京都渋谷区を皮切りに、東京都世田谷区・三重県伊賀市・兵庫県宝塚市・沖縄県那覇市・北海道札幌市・福岡県福岡市・大阪府大阪市の8自治体が既に導入済みで、中野区で9自治体目の導入となる。この制度は同性カップルやLGBTへの差別や偏見の解消、及び同性カップルをこれまで阻んできた社会的制約の緩和、権利擁護と拡大を目的としている。
パートナーシップ制度により、同性カップルはパートナーシップ証明書を取得することができる。この証明書は自治体内の事業者に最大限の配慮を求めるもので、事業者が行っている割引やサービス、場合によっては住宅ローンのサービスなどを受けることができる。これまで受取人は戸籍上の配偶者とされてきた生命保険金については、同性パートナーを指定することが可能な生命保険会社も増えてきている。自治体により、住居の賃貸契約や病院の面会時に戸籍上の家族ではないとの理由で断られた場合、自治体が是正勧告を行った上で、事業者名を公表するなどの効力もある。
ただしこの制度に法的拘束力はないため、遺産相続などについては公正証書作成により便宜をはかっているのが現状。公正証書作成には費用もかかることから、経済的負担も大きい。また、パートナーシップ制度が存在することで同性婚不必要論が高まるようでは、当事者にとっては本末転倒だ。パートナーシップ制度はあくまでも同性婚制度の法制化へのステップであるという認識が必要かもしれない。現在、制度を利用したカップルは200組を超えており、埼玉県さいたま市・千葉県千葉市などにおいてもパートナーシップ制度導入を検討中。今後制度が全国的に広まれば、国会での同性婚法制化への後押しともなる。多様性を認め合う社会の実現という意味でも、パートナーシップ制度の広がりに期待したい。(編集担当:久保田雄城)