博報堂が2000年より毎年実施しているグローバル市場でのマーケティング戦略に活用するためのオリジナル生活者調査『Global HABIT(グローバルハビット)』のなかで、アジア14都市「暮らしとお金」に対する意識調査を行い、「暮らし向き・お金に対する考え方・資産形成」について分析した結果を発表している。
ちなみに14都市とは香港、台北、ソウル、シンガポール、クアラルンプール、バンコク、メトロマニラ、ジャカルタ、ホーチミンシティ、デリー、ムンバイ、北京、上海、広州、東京。
経済的な暮らし向きの状況や今後の見通しについては、7都市で「昨年より良くなった」と感じる生活者が半数を超え、13都市で今後の見通しが「良くなる」が半数を超えている。この結果から見ても、アジア生活者は暮らし向きが改善したと感じ、今後に明るい見通しを持っていると考えられる。特にインドのムンバイは約80%以上、デリーは約70%以上、メトロマニラは65%以上が暮らし向きが良くなったと回答、今後の見通しについても高い数字が出ている。反対に東京は14都市の中で、暮らし向きの状況が「良くなった」は約10%程度、今後の見通しが「良くなる」は約0%程度と、今回対象となった14都市に比べるとかなり低い結果となっている。
また、お金についていくつかの設問のなかから、あてはまる考え方を聞いたところアジア14都市平均の第1位は「毎月決まった額を貯金(56.7%)」。2位は「世の中はすべて金で決まることが多い(39.4%)」、3位は「お金は命の次に大事なもの(37.4%)」、4位は「金融商品の良し悪しについて、自分なりに判断できる(32.4%)」、5位は「クレジットカードを使うことに抵抗はない(32.3%)」となった。「世の中お金で決まることが多い」は14都市全てでトップ5に入っており、「毎月決まった額を貯金」は北京以外の13都市で1位か2位となっており、この2つは全都市共通だが、3位以降は都市によって傾向が異なっている。東京の1位は「自分がもらう年金に不安を感じる(75.1%)」で、2位以下を約25%以上引き離す結果となった。
さらに資産形成のために行っている内容には台北、ムンバイ、香港、ソウルの4都市では株式や宝石・貴金属などの投資を行っている割合が高い。一方、それ以外の10都市では「何もやっていない」がほぼ半数を超えているという。
アジア圏内は経済が活況という印象があるが、やはり国よって経済の波が大きく異なっているため、生活者の暮らし向きやお金に対する考え方が大きく違うことがわかる。なかでも日本の大都市、東京での生活者の不安が伝わる回答は、現在の日本経済の本質を顕著に表しているようだ。(編集担当:宮園奈美)