会社員の副業 企業の4分の3で認められず

2018年09月23日 11:32

画・会社員の副業 企業の4分の3で認められず

労働政策研究・研修機構の調査で、会社員の副業・兼業について許可の予定がないと答えた企業は全体の75.8パーセントに上ったことが分かった。副業解禁にあたっては、企業の懸念を十分に理解したガイドラインなどが必要になるだろう。

 厚生労働省所管の労働政策研究・研修機構の調査で、政府の推進する会社員の副業・兼業について許可の予定がないと答えた企業は全体の75.8パーセントに上ったことが分かった。一方で許可していると回答した企業は11.2パーセント、許可を検討中の企業は8.4パーセントと、副業の解禁に企業が慎重な姿勢を示していることが改めて浮き彫りになった。

 これまで会社員の副業については、就業規則で制限・禁止している企業がほとんどであった。しかし平均年収の低下や働き改革法案の成立などの影響で、会社員の副業にもメリットがあると考えられるようになった。特に労働力人口の不足がいよいよ深刻化する中、今働いている人材をより効率よく使うという観点からも副業の解禁は妥当性を増しているように思える。国も副業解禁に向けて意見交換会の開催や厚生労働省提供のモデル就業規則の変更などの手を打っている。会社員を対象に行われた調査においても、収入を増やしたいという動機のもと副業を希望もしくは機会を探すと回答した人は全体の約37パーセントであった。

 こうした国や労働者の思惑とは反対に、企業は副業解禁には後ろ向きの姿勢を崩さない。その大きな理由としては「本業に支障をきたす恐れがある」、「過重労働の危険性がある」、「労働時間などの管理ができなくなる」といったものが挙げられる。働き方改革によって管理職を含む労働者の労働時間管理が企業に義務付けられる中、副業を解禁してしまうと全体の労働時間の把握が困難になることは言うまでもない。働きすぎによって体調を崩したり仕事の質が低下したりすれば本末転倒となるだろう。

 それでも副業によって会社員に新たなスキルが身につくことや新たな知識・人脈が獲得できることなどのメリットも少なくはない。副業によって得たノウハウや自主性などが本業に生かされるということも十分に考えられる。副業解禁にあたっては、企業の懸念を十分に理解したうえで本業に支障をきたさないようにするガイドラインなどが必要になるだろう。(編集担当:久保田雄城)