広島高裁は25日、愛媛県にある四国電力伊方原発3号機の運転差し止め仮処分命令を取り消す決定を出した。四国電力は来月27日に原子炉を起動し、30日から送電を開始するとしている。
佐伯勇人社長は「火山事象などに対する安全性を十分に有していることなどについて、当社の主張を認めていただいたものであり、妥当な決定を頂いたものと考えている」と談話を発表した。
四国電力は「伊方原発3号機は四国で安定的に低廉な電力供給を行う基幹電源だ」とし「安全対策に不断の努力を重ね、安全最優先に運転再開に向け準備を進める」としている。
同原発3号機については昨年12月13日の広島高裁抗告審決定に対し、同月21日に四国電力が異議申し立てを行っていた。12月13日の仮処分決定では伊方原発から130キロ離れた阿蘇カルデラに対し、9万年前の破局的噴火で火砕流が伊方原発敷地まで到達していた可能性をあげ、立地は不適切としていた。
しかし、四国電力は「9万年前の噴火でも火砕流は原発敷地内に到達していない」などと主張。今回、裁判長は「伊方原発運転期間中に阿蘇山で破局的な噴火が発生する可能性が根拠を持って示されているとは認められない」とし「相応の根拠を持って破局的な噴火の危険性が示されない限り原発の安全性に問題ないとするのがわが国の社会通念と認められる」と東京電力福島第一原発事故以来、原発に対する社会通念が大きく変わっているにもかかわらず、悲惨な教訓を無視する発想で判断した。決定に疑問符がつくと言わざるを得ない。(編集担当:森高龍二)