深刻な人手不足の状況が続いている。高齢者、女性そして外国人の就業者も増大傾向で推移しているが人手不足感は高止まりの状況だ。
オリンピックを2年後に控えた現在、特に建設部門での人手不足は深刻な状況が続いている。しかし、建設関連統計を見ると建設受注関連ではわずかながら減速感もみられ、この分野での人手不足も高止まりながらも安定推移に移行しそうだ。一方でAIやビッグデータ、IoT関連の投資が本格化しはじめ情報通信関連で技術者を中心とした人材不足感が出始めている。
19日に厚生労働省が労働経済動向調査の8月期分を公表している。労働者の過不足状況についてみると、正社員等労働者での過不足判断D.Iは調査産業全体で43ポイントと全産業で不足超過の状態で、2011年8月調査から29期連続して不足超過の状況が続いている。
特に「建設業」、「情報通信業」、「運 輸業・郵便業」でD.Iの値が高く深刻な人手不足を感じている事業所が多い。産業別に見ると、情報通信業のD.Iが56と最も高く、次いで「運輸業・通信業」の54、「建設業」の51と続いている。今年に入ってから初めて「情報通信業」が「建設業」を上回り最も高い不足超過となった。
これまで最も高い不足超過の状況を維持していた「建設業」のD.Iをみると2月調査時点で56、5月調査時点では55、そして今回8月時点では51と低下傾向で推移している。季節的な要因も考えられるが、オリンピック関連の受注も一巡し、外国人労働者の補給等によって調整が進み、高止まりながらも人手不足の深刻化の状況は落ち着き始めたとも考えられる。
一方、「情報通信業」ではAI関連や仮想化などの設備投資が増加傾向で、こうした状況を背景に人手不足感が深刻化して行くと予想される。
一方、パートタイム労働者の過不足状況を見ると、全産業でD.Iは32ポイントと不足超過で、しかも全産業で不足超過となっており、09年11月調査から36期連続して不足超過の状態を維持している。特に「生活関連サービス業,娯楽業」、「サービス業」、「宿泊業,飲食サービス業」で人手不足を感じている事業所の割合が多くなっている。
経済・技術情勢の変化に従い人手不足、人材不足の状況にも変化が見られる。引き続き女性、高齢者の活用、マッチング機能の強化、外国人就労の規制緩和等により人材・人手不足感解消への努力が必要だ。(編集担当:久保田雄城)