人材派遣2018年問題。派遣社員の約6割が無期雇用で働きたい

2018年09月28日 06:47

画・人材派遣2018年問題。派遣社員の約6割が無期雇用で働きたい。

アデコが派遣社員の無期雇用転換等に関する意識調査の結果を公表。約6割が将来的に無期雇用の派遣社員として働きたいと回答

 労働契約法、労働者派遣法の改正によって非正規雇用労働者の雇用契約に関するルールーが変更された。実際の運用は2018年度からで、これは「2018年問題」と呼ばれ、契約法による無期転換は既に4月から適用されており、10月からは派遣法による3年基準が運用される。

 人材サービス業のアデコは派遣期間3年ルールが運用される10月を目前にした9月上旬、有期雇用の派遣社員として勤務している全国の派遣社員500人と企業等で派遣社員の採用に関わっている担当者500人を対象に無期派遣や働き方改革等に関してアンケート調査を実施し、19日にその集計結果を公表した。

 派遣社員に対し「今後、無期雇用の派遣社員として働きたいと思うか」と尋ねたところ、「そう思う」と回答した者の割合は18.4%、「どちらかといえばそう思う」が39.0%で、両者を合わせると約6割にあたる57.4%が無期雇用へ転換したい希望を持っているようだ。

 無期転換したい理由を尋ねたところ、「契約の更新を気にせず安定して働けそうだから」が74.9%で最も多く、次いで「同じ派遣先で働き続けることができそうだから」が58.9%で、この2つが50%を超え突出して多くなっている。

 また、「無期雇用になることで派遣会社に期待するものは何か」という質問に対しては、「時給(給与)のアップ」が74.9%と突出して最多となっており、唯一50%を超え、次いで「福利厚生」の43.2%となっている。

 「今回の改正派遣法について知っているか」という質問に対しては、「内容も含め知っている」はわずか12.4%、「詳しくは知らないが、改正されることは知っている」が44.6%、「まったく知らない」が43.0%で4割以上の派遣労働者が制度の変更自体を知らないという状況である。

 一方、採用担当者に対し「この1年間で、以前に比べて派遣社員の採用が難しくなったと思うか」と聞いたところ、「そう思う」と回答した者の割合は67.4%で、約7割の担当者が人材確保は難しくなっていると感じているようだ。

 また、採用担当者に対し「無期雇用派遣によって派遣料金が値上げされる場合、どれくらいの値上げ幅であれば受け入れますか」と質問した結果では、その幅に差はあるものの約7割が値上げを受け入れると回答している。

 全体的に人手不足感が高まっている中、労働者側は雇用の安定と賃金上昇を求めており、一方企業側も人材確保競争から労働者の要望を受入れる姿勢を見せており、今のところ「2018年問題」は法改正が想定した目的に沿って動いているようだ。(編集担当:久保田雄城)