INFでの米ロの動き注視したい 菅官房長官

2018年10月23日 06:50

 米・トランプ大統領が1987年に旧ソ連と締結し、これを引く継いだロシアとの間の「中距離核戦力(INF)全廃条約」を廃棄する方針を表明したことに対し、菅義偉官房長官は22日、「米ロの動きを注視していきたい」と述べるに留めた。

 菅官房長官は米国に対しINF離脱を思いとどまるよう働きかける考えはないのか、と記者団に問われ「日米は核軍縮について様々な意見交換を行っている。今後も行っていく」としたうえで「具体的なやり取りについては控えたい」と答えなかった。

 社会民主党の吉川はじめ幹事長は「アメリカが主要軍縮条約から離脱するのは2002年、当時のジョージ・W・ブッシュ米大統領が核弾道ミサイルの迎撃兵器を禁止する対弾道ミサイル(ABM)条約を失効させて以来だ」とし「INF全廃条約の破棄は被爆者の願いを踏みにじり、国際的な核兵器禁止の流れに逆行するもので、核軍縮の歩みを否定し後退させるもの。断じて許せるものではない」と抗議する談話を発表した。

 吉川幹事長は「INF全廃条約の破棄によってロシアや中国との関係緊迫化や新たな核軍拡競争の激化を招くことが憂慮される」としたほか「北朝鮮に核兵器の廃棄を求めながら、自らは新たな核兵器を開発しようというのは矛盾している。朝鮮半島の非核化にも悪影響を与えかねない」と述べ「ロシアが条約に違反しているというのであればロシアに条約履行を求める交渉を続けるべきだ」と訴えている。(編集担当:森高龍二)