厚生労働省が発表した2017年度の「賃金構造基本統計調査」によれば、国内企業の課長相当職に占める女性の割合はわずか10.9%で、政府が目標とする数値に遠く及ばないことがわかった。男女共同参画社会基本法の施行から19年で20年目を迎えるが、いまだに企業の女性活躍の取組みのあり方が問われている。
政府は管理職など、職場で指導的立場に就く女性の比率を20年までに30%程度にすることを目標にしている。しかし目標達成まで2年を残して、実際にはその3分の1の水準にとどまっている。しかも課長相当職以上の女性の割合の伸び率も芳しくなく、ここ10年間で数%程度しか上昇していないのが現状だ。20年度までの目標達成は極めて厳しいと言わざるを得ず、国だけでなく企業が女性の管理職登用にさらに積極性を示すことが必要となっている。
女性の管理職の割合が伸びない一つの要因として挙げられるのが、女性の昇進意欲の低さだ。労働政策研究・研修機構が16年に実施した「企業の人材活用と男女正社員の働き方に関する調査」によれば、総合職正社員に占める管理職への昇進希望者の割合は男性で56%なのに対し、女性は27.9%と低水準だ。管理職にとどまらず、現在より高い地位や役職に就くことを希望するかという質問に対しても男性の67.7%が希望しているのに対し、女性は44.2%となっている。とはいえ、新たなことに挑戦するやる気や私生活を重視する傾向には男女差がほとんどないため、入社後の業務によって管理職のやりがいやメリットなどを伝えることができれば、女性の昇進意欲を高めることは可能だ。
女性の社会進出は日本経済にとっても大きなメリットがある。しかし数々の調査が示しているように、出産や育児と仕事を両立できるような環境が整備されても女性の昇進意欲を必ずしも高められるわけではない。女性管理職の割合を30%にするという政府の目標を達成するために、企業には女性の昇進意欲を高める意識改革が求められている。(編集担当:久保田雄城)