先月発表された総務省の就業構造基本調査によれば2017年の女性の有業率は50.7%で5年前の調査に比べ2.5ポイントの上昇となっている。政府は女性の活躍を政府の基本方針として掲げているが、その経済的な理由は人口減少社会の中、就業人口の減少を抑止し国力を維持しようというものであろう。
もちろん女性活躍推進の根本には女性個人の幸福度の向上という人権上の目的がある。働く女性が増加したといっても現況ではパートタイマーなどの非正規の就労形態が多く、意思決定に関わるような真に女性が活躍できるポストに就いているケースはまだまだ少数派のようだ。
先月末、東京商工リサーチが2018年3月期決算での「上場企業2375社『女性役員比率』調査」の結果を公表した。このレポートで「役員」は「会社法上の取締役、執行役および監査役など」と定義されているが、2018年3月期決算での上場企業2375社の役員総数は2万7526人で前年の2万7843人から317人減少している。
このうち女性役員は1049人で、前年の933人より116人の増加となったが役員全体に占める女性役員の比率はわずか3.8%にすぎず、前年の3.3%から0.5ポイント増加したというものの未だ極めて少数であるのが実態だ。さらに、全体の65.8%にあたる1563社では女性役員が未だゼロという実態である。
産業別に女性役員比率をみるとは、サービス業で役員総数1991人中女性役員が121人となっており、比率は6.0%で最高であるが10%以下である。次いで、小売業が1459人中87人で5.9%、金融・保険業が2214人中126人で5.6%と続き、最も低い建設業では1697人中35人で2.0%となっており、業種間にバラツキがみられる。
女性役員比率が50.0%以上の企業は2社のみで、老人介護ホームの光ハイツ・ヴェラスが役員総数7人中女性役員数は4人、化粧品の開発・製造販売のシーボンでは12人中6人となっている。ちなみに前回調査では1社のみであった。
政府は15年に第4次男女共同参画基本計画を閣議決定し上場企業の女性役員の比率を「20年までに10%を目指す」と目標を掲げているが、18年3月期決算資料で5%以上を達成している企業は790社で全体の33.2%のみである。女性の役員比率は緩やかに増加傾向にあるものの「20年に10%」の実現は難しい状況のようだ。(編集担当:久保田雄城)