外国人労働者の受け入れ拡大を図った改正出入国管理法成立を受け、連合の相原康伸事務局長は8日、「日本社会のあり方や雇用・労働条件に大きな影響を及ぼす政策の転換であるにもかかわらず、来年4月施行にこだわり、国会においても十分な議論が尽くされないまま、法案が成立に至ったことは誠に遺憾」との談話を発表した。
相原事務局長は「国会審議で技能実習生について、最低賃金を下回る低賃金や過労死ラインを上回る長時間労働など、多数の失踪事案の状況も含め劣悪な労働環境におかれている実態の一端が明らかになった」とし「特定技能は技能実習制度に類似した仕組みであり、転職が可能とはいえ、職探しや新たな住居探しに際しての困難さから、職を移ることは容易ではなく、劣悪な環境に留め置かれることが懸念される」と指摘。
また「新設される出入国在留管理庁が労働関係法令違反について適切に指導し、多様な意見や価値観を調整して共生社会を実現できるのか、甚だ疑問」と実効性があるのか疑問を投げた。
そのうえで「制度検討に際して、国内人材確保の取り組みを十分に行った上での受け入れなのか、開かれた場で国民の理解を得ながら検討すべき」とし「日本人との同等報酬の確保や悪質なブローカーの排除、労働関係法令を遵守しない受け入れ機関に対する厳正な処分など、実効性を担保するための制度構築、都道府県労働局など関係機関との連携強化など、参議院法務委員会附帯決議で示された内容を十分に踏まえた検討を行うべき」と求めている。
また「日本で働くすべての労働者は労働者としての権利が保護されなければならない」と必要な対応を求めるとともに「外国人労働者は地域社会で暮らす生活者でもあり、日本語教育、公共サービス、多文化理解などの共生施策を十分な予算を確保して国が責任を持って実施するよう」求めた。(編集担当:森高龍二)