世界初の「木製ストロー」、アキュラホームとザ・キャピトルホテル東急が共同開発

2018年12月16日 12:05

Anti Plastic Straw

世界初お披露目となった「木製ストロー」、0.15mmにスライスした木片を螺旋状に巻いたことで映える美しい木目が特徴だ

 木造注文住宅建設を主軸業務とする住宅メーカーのアキュラホームと東京・永田町のザ・キャピトルホテル東急が共同で「Wood Straw Project」(ウッドストロープロジェクト)をスタートさせて、世界初の「木材によるストロー」企画開発、そして監修ならびに導入について共同記者発表会を開いた。

 近年、業界を問わずにプラスチック製品の使用制限に踏み出す動きが顕著だ。なかでも料飲店などで使われているプラスチック製ストロー使用を止めようという取り組みが世界的に加速している。

 大手コーヒーチェーンの「スターバックス」では、2020年までに世界の全店でプラスチック製ストローの廃止を決定したし、米国「マクドナルド」もプラ製ストローの廃止を決定し、9月から紙製ストローに換えた。日本国内でも「ガスト」などを展開する「すかいらーくHD」が、2020年までに国内、海外の全店舗でプラ製ストローを廃止することを発表した。

 そして今回の木製ストローである。この「Wood Straw Project」の発端は、環境ジャーナリストの竹田有里さんが、今年2018年7月に発生した西日本豪雨の被災地取材をとおして、そこで発生した大規模な森林土砂災害の大きな要因として、森林の管理の問題点に気付きながら、誰も適切な間伐などの森林育成を行なっていなかった現実をみる。

 そこで、森林管理で発生する間伐材の活用法として竹田さんが発案した「木材ストロー」つくりのために、アキュラホームとザ・キャピトルホテル東急がこれに賛同し、始動したプロジェクトだ。

 今回の「木製ストロー」は、0.15mmにスライスした木片を螺旋状に巻いてつくる工法をアキュラホームが開発し、実際の使用感など全般の監修はザ・キャピトルホテル東急が実施した。安全性は日本食品分析センターの試験で証明されているという。今後はその他のホテルでも前向きに検討しているという。

 今回の発表によるとザ・キャピトルホテル東急は、来年1月16日から同ホテルのレストラン「ORIGAMI」で木製ストローを導入するとし、海洋汚染の原因になるプラ製ストローを廃止に乗り出す。

 現在レストランやバーなどで年約8万本使っているプラ製ストローを、来年4月までに全廃。ドリンクの提供の仕方を変えて、顧客からストローの提供を求められた場合に限り、木製ストローを提供する。末吉孝弘・支配人によるとこうした施策でストローの使用量を半分にするという。

 木製ストローは主に国産の間伐材を使用。現在、1本当たりの価格は数10円を目指しており、1円未満にとどまるプラスチック製の数10倍に跳ね上がるが、キャピトル東急では「環境保全につながる」として導入を決めた。また、当面の製造は株式会社クレコ・ラボに委託する。

 海洋汚染につながるプラスチックごみのうち、ストローが占める割合は、それほど大きくない。が、消費者にわかりやすい例として世界中で象徴的に取り上げられており、外食産業など関連企業の背中を押している。

 今回の木製ストローは、環境汚染対策に加えて環境保全および林業支援につながる施策として大いに注目される。(編集担当:吉田恒)