日本の労働生産性は決して高くないと以前から指摘されてきた。現在、政府主導の働き方改革に多くの企業が取り組んでいる。これは日本の長時間労働について国連からの指摘があったためだが、以前より時間当たりの労働生産性の向上は日本産業にとって長年の課題となっている。
現在、日本は景気回復傾向の中、深刻な人手不足の状態にあり、超過需要の状況下で稼働率が上げられない状況だ。さらに今後生産年齢人口の減少は確実で時間当たり・1人当たりの労働生産性の向上は日本経済を維持して行くために最も重要な課題と言ってもよい。
19日、日本生産性本部が日本の労働生産性についてのレポート「労働生産性の国際比較 2018」を公表している。これは当本部がOECDデータベース等をもとに分析・検証し、毎年公表しているものである。
レポートによれば、OECDデータによる日本の時間当たり労働生産性は47.5ドル、日本円換算4733円でOECD加盟国の36カ国中20位となっている。名目ベースでは前年比1.4%の上昇となったもののランキングを変化させるまでには至っていない。
就業者1人当たりの労働生産性は8万4027ドル、日本円換算837万円で36カ国中21位となっている。ちなみに時間労働生産性のOECD平均は53.5ドルで日本の47.5ドルは平均値を下回り、先進国としては韓国に次ぐワースト2位である。主要先進7カ国の中では1970年から最下位の状況が続いている。
G7先進国の時間当たり労働生産性を高いものから列挙すると、米国が72.0ドル、ドイツ69.8ドル、フランス67.8ドル、イタリア55.5ドル、カナダ53.7ドル、英国53.5ドル、そして日本が平均を下回る47.5ドルとなっている。
一方、製造業のみについて見ると、就業者1人当たりの付加価値ベースの労働生産性は9万9215ドル、日本円換算1115万円となっている。円ベースでは上昇傾向を維持しているものの近年の円安傾向でドルベースでは足踏み状態が続いている。ランキングでは15位となり中位を維持しているものの、昨年の14位から順位を1つ落とした結果となった。
半世紀近く前から日本の生産性で高いのは製造業のみであり事務・情報部門の生産性は著しく低いと指摘されてきた。近年IT設備投資も活発な様だが、その多くは保守的投資で革新型投資は少ないと言われている。生産年齢人口が確実に減少している中、労働生産性向上に向けた抜本的システム改革が急務だ。(編集担当:久保田雄城)