一本の「木製」ストローが世界を変える? 脱プラスチックに向けた企業の挑戦

2018年12月29日 10:38

 今、世界中で「脱プラスチック」の動きが活発化している。現在、石油産出量のおよそ8%がプラスチックの生産に費やされており、生産量では年間3億トンにのぼる。しかも、これだけ環境問題が取り沙汰されているにもかかわらず、プラスチックの利用は減少するどころか増加の一途を辿っており、2025年には2015年の10倍に膨れ上がると予測されている。

 確かに、私たちの生活を振り返ってみると、プラスチック無しではもう生活が成り立たないところにまで来てしまったようにも思える。とくに商品や食品などの包装にはプラスチックが欠かせない。2018年6月に発表された国際連合環境計画(UNEP)の報告書によると、容器包装に用いるプラスチックの生産量は全体の36%を占めている。また、同じくUNEPの統計では日本は、国民1人あたりが廃棄する容器包装プラスチック量がアメリカに次いで世界で二番目に多いという不名誉な結果となっている。

 今年7月にはディズニーが、世界中で運営する同社の全施設において、使い捨てプラスチック製のストロー及びマドラーの使用を2019年までに禁止することを発表して話題になったが、日本の民間企業でも脱プラスチックに向けたさまざまな取り組みがはじまっている。

 例えば、木造住宅メーカーのアキュラホームとザ・キャピトルホテル東急が国産の間伐材を利用した木製ストローを共同開発して話題になっている。ホテルなど商業施設への木製ストローの導入は世界初の試みとなる上、プラスチック問題だけでなく、森林保全に必要な間伐材の画期的な再利用方法としても注目を集めているのだ。

 この木製ストローは19年1月から同ホテルのラウンジで試験導入された後、4月以降には館内すべての飲食施設においてプラスチック製からの切り替えを目指すという。

 ストローの脱プラスチックに関しては、ディズニーの他にも、スターバックスやマクドナルド、日本企業では、すかいらーくホールディングス、さらには三井住友海上火災保険でも社員食堂でのプラスチック製のストローと飲料カップを廃止するなど、国内外の大手企業に動きがみられる。代替品としては紙製が主流だが、紙だと液体の中でふやけやすいという難点もある。木製はコスト面の問題はあるものの話題性もあり、実用的でもあることから、今後、需要が高まるのではないだろうか。

 プラスチックは確かに便利なものだが、破棄されたプラスチックは深刻な海洋汚染を引き起こしている。繰り返し再利用できるものはともかく、「使い捨て」のプラスチック製品は、少しずつでも世の中から排除していくべきだ。たかが一本のストローだが、それが紙や木に変わるだけでも、世界規模でみれば大きな削減につながる。アキュラホームとザ・キャピトルホテル東急の取り組みが、世界を変える大きな一歩になるかもしれない。(編集担当:石井絢子)