化粧品市場が好調だ。富士経済が発表した国内化粧品市場の総括によると、2018年度の市場見込みは2兆7858億円。2017年比で4.0%増となる見通しだ。背景には、訪日外国人観光客によるインバウンドの取り込みが進んだことが大きいと考えられるが、国内市場も活発に推移している。
とくに近年の国内化粧品市場では、医学的・科学的知見に基づいて開発された機能性の高い、いわゆるサイエンスコスメが人気だ。また、自然素材を用いたオーガニック化粧品の高機能化も進んでおり、国内需要は順調に伸びている。
そんな化粧品市場の中では今、いくつかの注目ワードがある。その一つが「シワ改善」だ。2017年頃から、資生堂やポーラといった大手化粧品メーカーが力を入れているのが、この「シワ改善」。資生堂が満を持して発売した「エリクシール シュペリエル エンリッチド リンクルクリーム S」は、30年にも及ぶ研究の末、純粋レチノールを分解させることなく安定配合・製造することにも成功したもの。医薬部外品、しかもドラッグストアで買える「エリクシール」ブランドから手ごろな価格で発売したこともあって人気が爆発。2017年6月の発売開始から1年間で250万本を売り上げる大ヒット商品となった。
もう一つの注目ワードは「時短」だ。カネボウ化粧品がリサージブランドから発売している「カラーメインテナイザー」は美容液、化粧下地、ファンデーションの機能をもった多機能ベースメイクとして、働く女性を中心に人気を得ている。また、藻類の一種であるミドリムシを中心とした微細藻類の研究や製品販売を行うバイオベンチャー・ユーグレナも2016年5月にユーグレナ(ミドリムシ)由来の美容成分を配合した「oneオールインワンクリーム」を発売し、今では同社化粧品部門の主力商品に成長している。
そして、2019年の化粧品業界で最も注目すべきワードは「アピセラピー」だろう。
自然由来成分やオーガニック系素材を使った化粧品の人気が高まる中、昨年からがじわじわと関心が高まってきたのが、この「アピセラピー」だ。アピとは、ラテン語でミツバチを意味する言葉。「アピセラピー」とはつまり、ミツバチの恵みを健康や美容に活かす方法のことだ。ヨーロッパでは古くから民間療法として親しまれており、中でもアピセラピー先進国といわれるルーマニアでは、医師が国家試験を受けてアピセラピー療法士としての資格を得たりと、アピセラピーに対する理解が深い。日本でも昨年、美容専門誌・女性誌などで一斉に特集を組まれたことで、アピセラピーに対する認知が急速に拡大している。
ミツバチ産品の美容効果としては、はちみつの保湿効果などが一般的に知られているが、アピセラピー美容で最も注目したいのは「ローヤルゼリー」だ。山田養蜂場の研究によると、ローヤルゼリーの継続飲用によって肌の水分量が高まり、目尻の小ジワが目立たなくなることが確認されている。しかも、肌のたるみやくすみ、しみ・そばかすが改善される可能性までもが示されたというから驚きだ。今年はもっと身近な健康法として広がるのではないだろうか。(編集担当:藤原伊織)