日本の労働組合は戦後しばらく民主化の象徴として組織率を上昇させていったが、1980年代頃より組織率は低下傾向に反転し、以後減少傾向で推移している。組合員数は就業者数の増加に比例し、その後も増加傾向を維持してきたものの94年をピークに組合員数も低下傾向に移行した。
この現象には様々な要因が指摘されているが、安定成長への移行の中で労使協調路線が中心となり、労働組合の存在意義自体が希薄化したとも考えられる。再び労働組合の存在が注目されるようになったのは今世紀初頭の人材派遣法改正を契機とする非正規雇用労働者の増加傾向が指摘されるようになってからだ。
12月19日、厚生労働省が「平成 30年労働組合基礎調査の概況」を公表している。報告書によれば、18年6月末日現在での労働組合数は2万4328組合で前年に比べ137組合減少し、増減率で0.6%の減少となっている。
組合員数については1007万人で、前年に比べて8万8000人増え、0.9 %の増加となっている。被雇用者全体に占める組合員数の割合で計算した推定組織率は17.0%、前年より0.1ポイント低下となった。
女性の組合員数について見ると、335万7000人で前年と比較し9万人増えて2.7%の伸びとなっており、また、女性のみの推定組織率は12.6%で前年と比べ0.1ポイント上昇しており、女性の組合員が増加している様子がうかがえる。
女性が多いパートタイム労働者の状況についてみてみると、パートタイム労働者の組合員数は129万6000人で前年に比べて8万9000人増え、7.3%の増加となっており、全労働組合員数の中での割合は13.0%となっており前年に比べ0.8ポイントの上昇となっている。パートタイム労働者のみの組織率は8.1%で前年に比べ0.2ポイントの上昇となっている。全体として労働組合の組織率が低下傾向の中で女性、特にパートタイム労働者の組合員の増加が組織率を底支えしているようだ。
企業規模別に推定組織率を見ると、全体平均が15.9%であるのに対して、1000人以上の企業で41.5%、100~999人で11.7%、100人未満で0.9%と規模による格差が見られる。
近年、労働組合の影は薄いが、流動化する労働市場の中で組合が果たすべき役割は増大している。この役割を十分担い労働者の権利を守ることで、働き方改革と相まってより働き安い職場が実現することを期待する。(編集担当:久保田雄城)