厚生年金パート適用へ 月収要件緩和

2018年09月05日 07:13

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厚生労働省はパート労働者の厚生年金加入を推進するため月収要件を現状の8万8千円以上から6万8千円以上に緩和する検討を始めた

 厚生労働省はパート労働者の厚生年金加入を推進するため月収要件を現状の8万8千円以上から6万8千円以上に緩和する検討を始めた。この規制緩和により加入者が最大200万人増加することが予想される。

 厚生労働省がこの検討を始めた背後には、過去規制緩和によって加入者が増えた記憶がある。2016年に行われた「パートタイマーの厚生年金加入拡大」の際には新規加入者が当初の予想の25万人をはるかに超え、約1.5倍の37万人に上った。この時に新規加入者に適用された条件は全部で5つある。まず従業員数が501人以上の企業に勤務していることだ。そして以下の四つは「特定要件」と呼ばれ、すべて満たすことで厚生年金への加入が可能になる。それは学生でないこと、週労働時間が20時間以上、月額賃金が8万8千円以上、そして勤務期間が1年以上になる見込みであることだ。当初の予想ではパートとして働いている主婦層が、収入が減るのを嫌って月額賃金が8万8千円を超えないようにするなどの対策を講じると考えられていた。しかし予想に反して多くのパートタイマーが、将来の年金額の増加を望んだのだ。

 そこで今回さらなる厚生年金加入者を増やすべく、厚生労働省が月収要件の緩和などの措置を検討しているのだ。さらに従業員501人以上の企業という条件も緩和される可能性さえある。厚生年金は保険料を労働者と企業が折半することになっており、従業員やパートタイマーの数によっては保険料としてかなり出費が増加する企業があるかもしれない。しかし近年深刻化する人材不足解消のため、多くの企業がパートタイマーの待遇改善を考慮し始めている時期でもある。こうした事情も相まって、厚生労働省としては今なら企業側の理解も得やすいと考えているようだ。

 企業にとっては労働力を確保し効率よく業績を伸ばしていくため、労働者としては老後の年金をより手厚くするため、今後の適用拡大に注意を払っていくべきだろう。(編集担当:久保田雄城)