2019年は日本にとって大きな節目の年だ。4月に入って早々には、4年に一度の統一地方選挙が実施される。それが終わると、いよいよ金上天皇が生前退位され、翌5月1日には新天皇が即位し改元する。そして10月には消費税率の引き上げが行われ、さらには来年に控えた東京オリンピックも秒読み段階。日本の社会と経済はこの一年、大きく揺れ動きそうだ。
そんな中、来春卒業予定の学生たちは、早くも就職に向けた活動を始めている。経団連加盟企業へのエントリーは3月に解禁。面接などの選考は6月からだ。しかし、それはあくまで建前。実際には経団連が示すスケジュールよりも早く、採用につながる活動を行っているケースも多い。そもそも経団連に加盟していない企業ならば、そんなルールを守る義務もない。悠長に構えていると、希望する企業のエントリーが解禁と同時に締め切られた……なんて悲惨なことにもなりかねない。そんなことにならないよう、就活生は早めの準備を心がけたいものだ。
では、今どきの就活生が希望する企業とはどんな企業だろう。新卒採用サイト「OfferBox(オファーボックス)」を運営する、株式会社i-plugが2019年卒予定の学生551名を対象に行ったインターネット調査「就活生の「働き方」に関する意識調査アンケート」の結果によると、「働き方について気にしているポイント」という質問に対し、64.4%の学生が「長時間労働やサービス残業があるか」を気にすると回答しており、「有給休暇が取得しやすいか」については55.4%、「結婚後の待遇、働き方を考慮してくれるか」についても43.6%と、高い回答率となった。
いわゆるブラック企業に対する警戒の表れとも考えられるが、これら高回答のポイントに共通するのは、仕事とプライベートの「ONとOFF」の切り替えだ。これは何も、仕事はそこそこでこなして、プライベートを重視したいということではない。その証拠に、同調査の「自分のやりたいことと、入社後の活躍・評価について」という質問では、45.8%もの人が「活躍でき、評価される仕事ならば、自分のやりたい仕事でなくても良い」と、仕事に対する前向きな回答をしている。また、「安定性」よりも「将来性」のある職場に魅力を抱いている傾向も示されていることから、「ON」の時は会社の発展に貢献し、「OFF」の時は仕事を気にせずにプライベートを楽しむことのできる職場環境を求めていることが窺える。
そんな就活生が理想とする企業はどうやって探せばよいのか。大学や先輩からの情報やインターネットの情報や評判なども大切だが、一般財団法人 日本次世代企業普及機構(通称ホワイト財団)が主催する「ホワイト企業アワード」なども参考になるのではないだろうか。
「ホワイト企業アワード」は、企業規模を問わず、全国の「素晴らしい会社」を称賛・表彰するイベントだ。過去3回のアワードでは、従業員数万人規模の大企業から、わずか7名の企業まで、幅広く受賞している。その評価の基準となるのは「素晴らしい会社の促進になるべく、模範となる組織体」であるかどうか、だけだ。
例えば、過去3回にわたって受賞を果たしているアキュラホームは、住宅業界では長期の休暇取得が難しいと言われる中、年末年始休暇や夏季休暇とは別に「9 日間連続休暇」を義務化したり、社員の出産、育児を支援するしあわせ一時金制度を10年前から導入したり、社員の働きがい創出を会社側が積極的に推進する取り組みが評価されている。
また、従業員数が10名以下ながら、第一回のアワードで大賞に輝いた中部システムセンターは、「全社員活躍推進」という概念で行われている会社一丸の取り組みと、「貢献度評価型人事制度」など多様な働き方を推進している点が今後の中小企業も見習うべきロールモデルであると評価されている。
激動する社会の中、安心して働くことができ、自分の能力を存分に発揮できるかどうかは、会社の規模や知名度、歴史だけではなく、今現在、その企業が従業員とどう向き合っているかにあるのではないだろうか。そういう企業はきっと、将来的な発展も見込めるだろう。転職も珍しくない世の中になったが、就活生にはぜひ、一生働ける企業を見つけてもらいたいものだ。(編集担当:藤原伊織)