今年、大物歌手が契約内容と違うことを理由にコンサートを「ドタキャン」したことが話題になった。その歌手は事情説明と謝罪を行ったが直前のキャンセルは多くの関係者に迷惑をかけるだけでなく経済的損失も相当のものになる。ドタキャンはそれでもキャンセルすることを契約相手に伝え、損害の補償についても当事者間で話し合うことができる。
新たに問題となっているのは無断キャンセル、ノーショーというさらに悪質な行為だ。ノーショーとは、飲食店等で「予約日時になっても連絡もなく、または店の連絡を無視して来店しないこと」だそうだ。このノーショーは飲食店の予約全体の1%弱を占め、年間損失額は約2000億円にも及ぶと言われている。政府もこれに強い関心を持っており、11月には経済産業省が「No show(飲食店における無断キャンセル)対策レポート」を発表している。
飲食店のネット予約システムを提供するテーブルチェックが先月末に飲食店責任者330名を対象に「飲食店の無断キャンセル・ノーショーに関する意識調査」を実施し、21日にその集計結果を公表した。
調査結果によれば、年間の無断キャンセル発生回数については、「1~6回」が31.8%、「7~12回」が4.2%、「13回以上」が5.5%で、これらを合計すると41.5%の飲食店で年に1回以上無断キャンセルを経験していることになる。
こうした無断キャンセルに対して「対策を実施したか」という問いに対しては、「ある」と回答したのは20.9%にとどまり、73.3%が「ない」と答えている。対策を行わない理由については、「無断キャンセルがない」38.0%、「必要ない」34.4%が多いが、一方で「面倒」13.2%、「費用が負担」9.1%、「人手がかかる」5.4%、「時間がかかる」(3.3%)といった回答もあり、これらを合わせると約3割の飲食店が手間や費用負担を理由に対策を実施できていない状況のようだ。
実施している具体的な対策方法については、「来店日前に予約確認の電話をする」が55.1%で最も多く、半数以上の飲食店で実施されている。次いで「キャンセルポリシーを設定する」が44.9%でキャンセル料を請求できるよう予約時から対策を講じている飲食店が4割以上存在する。無断キャンセル対策実施後の売上への影響については、「影響なし」が68.1%となっている。
経産省の発表したガイドラインについては7割以上の飲食店が認知しておらず、さらなる啓発が必要なようだ。(編集担当:久保田雄城)