来年10月、消費税が10%に増税される予定である。外食と酒類を除く飲食料品については軽減税率が適用され、これまでと同じ8%が適用される見込みだ。現在この軽減税率について様々な問題点が指摘されている。その主なものは収税に関する事務の複雑さで、業者の事務負担が過大になるというものだ。中でも直ちに飲食された場合は外食扱いで10%、持ち帰りの場合は食料品の小売り扱いとなり軽減税率8%を適用するという指針が現場を混乱させると問題になっている。
現場を混乱させることはもちろん大きな問題であるが、問題はそれだけではない。税率差は消費者から見れば価格差と同じものだ。価格差は商品の選考に影響を与えることは言うまでもない。外食価格は値上がりする一方で小売価格は値上がりしないのであれば、消費者は外食よりも食品の小売りを選考するよう消費態度を変更すると予測するのが自然だろう。
リクルートライフスタイルが運営する外食リサーチ機関のホットペッパーグルメ外食総研が来年の消費税増税・軽減税率に関連し消費者を対象に意識調査を実施し、その集計結果を5日に公表している。
調査結果によると、飲食料品に軽減税率8%が適用されることを知っているかという質問には約7割の68.6%が「よく理解している」または「多少知っている」と答えている。外食と持ち帰り等での税率の違いについては、48.3%が「よく理解している」、「多少知っている」と答えており、認知率は半数程度だ。
この「税率差を気にするか」という質問には、約7割の67.4%が「気にする」、「やや気にする」と回答している。消費税増税後の消費態度の予測について「増えると思う」から「減ると思う」を差し引いた指標を見ると、「外食の回数」でマイナス33.1ポイントと最大の減少となっており、外食を減らす傾向が鮮明となっている。
一方、プラス幅が最も大きいのは「自炊の回数」でプラス23.2ポイントとなっている。また、軽減税率8%が適用される予定の「飲食店からのテイクアウトや出前の回数」はプラス7.4ポイントとなっており、テイクアウトや出前は増加すると予測される。
この調査結果を見る限り消費税増税後に外食業から客足が遠のくのは間違いないようだ。飲食店が売上を落とさないようにするためにはテイクアウトや出前の売り上げを増加させるよう工夫する必要がある。そうした体制や設備が準備されていない飲食店は多額の追加投資が必要になる。この点も政府は考慮すべきであろう。(編集担当:久保田雄城)