アベノミクスで経済が緩やかに成長し続け、大企業が内部留保をどんどん積み上げていく中、労働者の賃金も上がったと政府が強調する中、なぜか庶民の暮らしに実感が伴わない理由が明らかになってきた。
毎月勤労統計調査で厚生労働省は2017年と2018年の比較で対象とした企業の半数を2018年1月に入れ替えるなど算出方法を変えたが、変更前と変更後をそのまま比較し「高い伸び」と強調した。
しかし2017年と2018年調査で調査対象となった共通の事業所のみで比較した厚労省「参考値」では「実質賃金は1月から11月までの11か月で『黒字になったのは6月のみ、11月がプラマイゼロ。9か月が前年比で0.1~1.4%のマイナス』になった。
名目賃金でも厚労省が発表後に勤労統計調査の不正が発覚後に再集計した数値で0.2~2.8%のプラス。特に6月の2.8%の伸びを筆頭に1%以上の伸びが6か月あったが、参考値での検証では2%台は無く、最高でも1.4%。1%以上の伸びは3月、6月、11月と半減した。
30日開かれた勤労統計不正「賃金偽装」野党合同ヒアリングで明らかになった。明石順平弁護士は「11か月中9か月がマイナスだった。平均を出すとマイナス0.5%になる」と指摘。厚労省も概ね正しいとの認識を示した。国会での検証が必要だ。(編集担当:森高龍二)