建物に襲来する超巨大蜂の群れ。そんな、まるでSFパニック映画のワンシーンのような光景がSNSで話題になっている。もちろん、これは本物の蜂ではなく、巨大オブジェ。ミツバチ産品の製造・販売で知られる株式会社山田養蜂場が直営店舗の「お菓子工房 ぶんぶんファクトリー」(岡山県苫田郡鏡野町円宗寺)の店先に設置した超リアルなフィギュアなのだ。
この巨大フィギュア群は、体長1.2メートルのミツバチのフィギュアが38体、体長4.7メートルものスズメバチのフィギュアが1体からなるもので、巣に襲い来る天敵スズメバチに対し、ミツバチが敢然と立ち向かう「熱殺蜂球(ねっさつほうきゅう)」と呼ばれる撃退場面を表したものだという。
「熱殺蜂球」なんて、まるでアニメや格闘ゲームの必殺技のようだが、その内容も非常に興味深いものだ。人間からも恐れられるほど、スズメバチは攻撃性が強いことで知られているが、ミツバチにとっても自分たちの命を脅かす天敵だ。肉食のスズメバチは、時には巣の中にまで侵入してきて、ミツバチを襲うことさえあるというのだ。社会性の昆虫であるミツバチがこのスズメバチに対抗するために「熱殺蜂球」という技で撃退するのだ。ミツバチがはねをこすって発熱して、スズメバチが死に至る温度まで上げて襲撃者を追い払うのだという。
しかし、どうしてこんな巨大なフィギアで、その場面を再現したのだろうか。山田養蜂場によると、集団の中の一員として働き、仲間と助け合いながら生きている社会性や、受粉を通して自然界に大きく貢献しているミツバチの姿を通して、自然環境や人との関わりなど大切なことを伝えるために設置したという。同社ではこれまでにも、同じ考えで「ミツバチの一枚画コンクール」や「ミツバチの絵本コンクール」などの開催、全国の小学校に書籍を寄贈する「みつばち文庫」、体験型教室の「みつばち教室」の実施など、幅広い活動を行ってきたが、このインパクトの強いフィギアもその活動の一環というわけだ。
何も知らないで通り掛かると、思わず声をあげてしまいそうなほど、リアルに作られた超巨大蜂フィギュアの群れは、インスタグラムやTwitterなどでも話題に上っており、それを見て訪れる人も増えているようだ。この春、子どもたちと共に訪れて、命の大切さ、自然の素晴らしさを考える良い機会になるのではないだろうか。(編集担当:藤原伊織)