総務省が発表した2017年7月時点での「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」によれば、ソーシャル・ネットワーキング・サービス、いわゆるSNSの利用率が増加したことが分かった。特に顕著なのは50代よりも上の年代での増加で、今後は高齢者にターゲットを絞ったSNSのサービスに各社が頭を悩ませることになりそうだ。
近年のSNS利用者の伸び率は目覚ましいものがある。前年代のSNSの利用率は2012年から毎年4パーセント以上の伸び率を保っている。10代から30代の比較的若い世代ではTwitterやInstagramの利用率が高くなっており、その他FacebookやmixiなどのSNSのいずれかを利用している人は97.7パーセントと非常に高い。しかし今回の調査で注目すべきなのは50代よりも上の世代のSNSの利用率だ。50代でもSNSを利用している人の割合は6割を超え、これに動画配信サービスを加えると、実に7割以上の人が何らかの方法でSNSに触れていることになる。60代、70代と年齢を重ねるにつれてSNSの利用率は低下していくものの、インターネットの利用率や利用時間は徐々に伸びてきており、今後さらにシニア層のSNS利用率が高まっていくことが予想される。
高齢者のSNS利用には多くのメリットがあると言われている。高齢者のSNSが非常に浸透しているアメリカでは、SNSがうつ病予防や認知症対策になるという調査結果もある。文字の入力によって手先を動かして脳に刺激が与えられることはもちろん、他者からの承認が得られるという点で今までにない刺激が生まれ脳が活性化されるからだ。他社との交流によって認知症のリスクが低減されることは日本の調査でも証明されている。今後高齢者がさらに増えていく日本社会において、SNSを用いた高齢者のケアなども可能になるかもしれない。
高齢者というとスマホやタブレットなどの機械が苦手というイメージがあったが、それはもう過去の話だ。ある調査ではシニア層が所有している携帯電話の約半分がスマホであることも明らかになった。今後は高齢者が生きがいを見出したり、他者との交流を欠かさないようにするためSNSをより一層健全な形で利用することが求められていくだろう。(編集担当:久保田雄城)