勝ち組だったマクドナルドの勢いにブレーキ

2013年02月18日 21:06

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デフレの勝ち組とされていたマクドナルドも、順調に拡大路線を展開してきたその勢いを失速させている。

 ハンバーガーチェーンの最大手マクドナルドが不振に陥っている。日本マクドナルドホールディングス<2702>が7日発表した2012年12月期の連結決算では9年ぶりの減収減益となり、順調に成長を続けてきたその勢いが失速しているようだ。

 マクドナルドは、1971年に銀座に日本1号店をオープンして以来、若者を中心に支持され、ハンバーガーというアメリカの食文化を日本に根付かした。1990年半ばまでに順調に店舗を拡大し、若者のみならず、子供たちやサラリーマン、さらには中高年にも愛されるファーストフードとして成長し続けた。

 しかし、1990年代の半ば頃になって、マクドナルドは大胆な低価格路線へと舵を取り始める。平日半額キャンペーンや100円以下でハンバーガーやチーズバーガーを販売する作戦は、お小遣いの少ないサラリーマンや、学生などから一時支持された。しかし、その思い切った価格破壊は、外食業界全体をデフレへと導く結果となり、競争のため、さらなる低価格設定やキャンペーンを打ち続けていかなくてはならない悪循環に陥った。

 そして2002年になって、日本マクドナルドはとうとう創業以来の赤字へと転落してしまう。2003年からは新体制のもと、高級路線に切り替えたり、100円マックメニューを拡大してみたり、メガマックなどの大型バーガーを販売してみたりと、志向錯誤しながら、マクドナルドというブランドイメージの信頼回復に努めて来た。

 順調に店舗を拡大し、外食チェーンの王者としての風格を取り戻した感があったマクドナルドだったが、ここにきて再度その勢いにブレーキがかかってしまったのだ。その原因は、長引く不況の中で人々の節約志向が加速し、外食を敬遠する人が増えてきたという、外食産業全体を取り巻く環境にあるだろう。さらには、牛丼チェーンやコンビニとの価格競争が一層激しくなり、一時高級路線を打ち出していたマクドナルドも、低価格戦線に参戦せざるを得ない状況になったことも考えられる。しかし、今回マイナスへと導いた大きな要因は、スピードや効率を重視するあまりに、本来もっとも大切にしなければならないサービスの質の低下を招いてしまったことにあるのではないだろうか。

 1970後半-80年代にかけて、若者たちがマクドナルドハンバーガーを食べながら街を歩くスタイルが流行した。1990年代になると、バブル崩壊後、懐が寂しくなったサラリーマンたちの強い味方となった。さらに2000年代に入ると、子供を連れて休日に家族みんなで立ち寄れる憩いのスポットとして週末はいつも賑わいをみせていた。ここ最近では、本格的なコーヒーを提供する「Macカフェ」という新たなコンセプトの店舗が増え、今までのファーストフードの概念とは違う、ゆっくりくつろげるスペースとしてビジネスマンやOL層などから支持されているようだ。

 日本にマクドナルドができて40年余が経ったが、いまでもマクドナルドは、我々にとって気軽で身近な外食の代表的存在であることは変わりない。マクドナルドが再び魅力的な商品を提供し、サービスの質をさらに向上することができれば、人々はまたすぐにお店に足を運ぶようになるだろう。40年かけて築き上げてきたブランド力があれば、そう困難なことではないように思える。(編集担当:北尾準)