昨年は多くの自然災害が発生した。中でも6月に起きた大阪北部地震は直下型地震の怖さを人々に再認識させたと言える。南海地震などの広域型の大地震発生の危険性も指摘されているが、局地的な直下型地震も甚大な被害を与える。大阪北部地震では大阪を中心に近畿・四国地方で全壊・半壊535件を含む6万件近い家屋に被害が出ている。
建築設計業のエヌ・シー・エヌが全国2889名をサンプルに「耐震に関する全国意識調査」を2月に実施、15日にその集計結果を公表している。
集計結果によれば、「現在住んでいるエリアで30年以内に大地震がくると思うか」という質問に対して、全国で48.9%が「思う」と回答しており、約半数の者が建築物に被害が出るレベルの大地震がいつでも起こり得ると考えているようだ。都道府県別で見ると徳島が78.0%と最も高く、山梨県、静岡県、高知県、神奈川県などで70%を超えており、南海地震や東海地震などを想定してか太平洋側の地域で警戒感が強いようだ。
「自分の住まいがどの程度の震度まで耐え得るか」という質問に対しては、「震度7以上」まで耐えうるとの回答した者は全体で13.2%、最も多かったのは「震度6」までで32.6%、次いで「震度5」までが22.4%という結果だった。なお、「わからない」が4人に1人にあたる25.1%存在する。
「現在の住まいが耐震性能(耐震等級1以上)を備えているか」という質問に対しては、「はい」が28.9%、「いいえ」が37.3%で、「わからない」は33.8%であった。3分の1の者が耐震性には安心しているが3分の2は自宅の耐震性に不安で、しかも3分の1は耐震性があるかどうかも確認していない現況のようだ。
都道府県別に「耐震性能あり」と答えた者の割合を見ると、「兵庫県」が46.8%で最も多く、次いで「神奈川県」46.0%、「宮城県」44.4%の順となっており、やはり大きな地震を経験した地域、想定されている地域で耐震性能への意識が高い。耐震性能を備えていると回答した者に耐震性能への満足度を聞いたところ、「満足」と答えた者が多い県は「岡山県」が56.2%、「熊本県」55.0%、「広島県」54.5%、「宮崎県」53.8%、「沖縄県」53.3%と西日本で満足度が高くなっている。
地震対策として行っていることについては、「非常持ち出し品の用意など」が63.2%、「家具転倒防止策」43.2%などが多いのに対して「耐震性の確認」については19.0%にとどまっている。(編集担当:久保田雄城)