親の介護か自身のキャリアか 二択以外の選択肢とは

2019年03月29日 06:55

画・親の介護か自身のキャリアか 二択以外の選択肢とは

ガネットでは40代以上の介護経験者の男女457名を対象に介護離職に関する意識調査を行った。介護と仕事の両立を難しいと感じる人が多い一方、介護離職をした事で後悔する人も7割。

 健康や長寿をテーマにしたテレビ番組が多くなった。この背景としては若者のテレビ離れが進んだことにより、番組の内容を年配の視聴者向けにしている面もあるだろう。しかし日本人の多くが健康と言うテーマに対して敏感になっているのも事実である。健康寿命という言葉は日本人の多くが知っているはずだ。いかに元気で健康なまま長く生きるかについて関心を寄せる人は増えている。そしてこれは高齢者と呼ばれる所まで年を重ねた人のみならず、その子供世代に当たる人々の人生とも密接なかかわりを持っている。

 ガネットでは40代以上の介護経験者457名を対象にして介護離職に関する意識調査を行った。多くの企業では人手不足の問題が叫ばれ、雇用を促進するための改革もされている。しかしそれに反して介護のために離職を選択する人は10万人を超え、このうち再就職を実現できたのは半数以下である。内閣府によるこれらの調査結果を背景として今回の意識アンケートが行われるに至った。

 自分の親や家族が介護を要する状態になったとしても、適切な環境等が整っていれば仕事を継続する事もできるかもしれない。しかし実際に介護離職を経験した人や検討している人の76%は、仕事と介護を両立させるのは難しいと答えている。中には会社と相談して上手く両立させられる人もいるだろう。ところが介護経験者の76.6%は会社に相談をしていない。相談しても意味がないといった諦めや、そもそも相談できる相手が社内にいないなど、介護の問題を抱えながら職場で孤立してしまう傾向も見られた。

 様々な事情によって最終的に離職を選ぶ人は多いが、可能ならば仕事を続けていたかった人もまた少なくはない。会社で積み上げてきたキャリアがある場合は離職による後悔も大きいはずだ。今回のアンケートでは7割もの人が介護離職を後悔していると回答したが、築き上げてきたキャリアの消失の他にも収入がなくなるなど、精神的にも金銭的にも介護をする側の負担が大きくなるのが実態だ。

 家族に介護が必要になったとき、介護保険の給付申請や介護休業の活用など、仕事を辞めるという二択以外にも利用可能な制度がある。介護離職で悩んでいる人の中にはこう言った制度の存在自体知らない人が少なからずいる。使える制度に関する周知の徹底を図り、職場でも相談しやすい環境を作れば、介護離職によって後悔する人を減らしていけるかもしれない。(編集担当:久保田雄城)