一般会計101兆4564億円という初の100兆円超えの政府の新年度予算が27日の参院で与党などの賛成多数で可決、成立した。財源の約3割(約32兆6600億円)を新規国債発行に依存している。
安倍晋三総理は「予算の早期執行と2兆円の消費税対策によって経済運営に万全を期していきたい」などと語った。
また「この予算は地方行政力の強化、農林漁業支援といった地方創生を更に強化していくための予算だ」とするとともに「予算の成立によって10月から幼児教育、保育の無償化を実現することができる。高齢者の皆さんの年金額の増額、介護保険料の減額等を進めていくことになる」などと述べた。
歳出内訳をみると国債費が23兆5000億円と最も大きく、政策経費(約78兆円)のうち、社会保障費が34兆600億円、地方交付税交付金が約16兆円。公共事業が6兆9000億円。文教科学が5兆6000億円。防衛費が5兆2500億円。防衛費は過去最大規模を安倍政権下で更新し続けている。
立憲民主党の福山哲郎幹事長は「消費増税を前提に天下の愚策、軽減税率導入という予算が通ったことは将来の日本経済と国民生活に大きな禍根を残す」と懸念した。
また「共通事業所の実質賃金、間違いなくマイナスになっているものも提出されず。辺野古問題も、新たな軟弱地盤の報告書も結果としてギリギリまで提出されなかった。改ざん、隠ぺい、不正、安倍政権の国会に対する不誠実な対応が今年も続いた」と政府の国会対応姿勢を問題視した。
国民民主党の玉木雄一郎代表は「予算の使い道にさまざまな問題がある」とし「10月からの消費税増税を前提にした予算だが、複数税率(軽減税率)やポイント還元については現場に混乱を生じる可能性が高い。特にポイント還元については予算が足りなくなってしまう可能性が否定できないまま成立ということは問題。家計にも悪影響を与える」と指摘した。
また同党の泉健太政調会長は「この予算は消費税率引き上げを前提にしているが、税率引き上げ対策の目玉、『ポイント還元』や『軽減税率』が欠陥だらけの愚策であることは我が党の委員会質疑でも明白になった」と問題だとした。
泉政調会長は特に「高額商品のカード決済で多額のポイント還元が行われてしまう。低所得者より高所得者に恩恵が届く問題。加えて、未使用のポイント分の補助金まで業者のもらい得になる、ポイント還元競争がデフレを招くなど問題点は枚挙にいとまがない」と批判した。(編集担当:森高龍二)