自衛官募集、紙名簿提出に応じないでと村民要望

2019年04月03日 06:26

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防衛省は自衛隊法97条(都道府県及び市町村の法定受託事務)、自衛隊法施行令120条を根拠に紙や電子媒体での名簿提供を求めている。ただ自治体側に対して、これに応じる「義務規定」はない。

防衛大臣の求めに応じ自治体が自衛官募集活動のために住民基本台帳から18歳、22歳の氏名や住所、生年月日といった個人情報を提供する動きが安倍総理の「自衛官募集協力に自治体の6割が拒否している」とした発言以来、強まっている。これまで住民基本台帳の閲覧のみでの協力をしてきた京都市は来年度から紙媒体で知らせる。安倍総理のひざ元、山口県でも名簿提供に改める自治体が増えている。

 こうした中、大阪府唯一の村、千早赤阪村の住民らが1日、村役場を訪ね「紙や電子媒体での提供要請があっても応じないで」と松本昌親村長に要望。松本村長は「これまで通り閲覧のみの協力にとどめる」と回答。「紙や電子媒体で提出する考えはありません」と応じた。1日現在、紙や電子媒体での名簿提出要請はきていないとしている。

 松本村長は3月定例議会で日本共産党の関口ほづみ議員の質問に「法令に基づいて要請があれば必要な協力を行う」。担当課長は「22歳の名簿提出は拒否できないと考える」と答弁していた。要望した盛田清延さんらは「これまで通り閲覧にとどめるとの村長の言葉でひとまず安心しました」と語った。

 自治体の協力を巡っては、安倍総理が「新規自衛隊員募集に6割以上の自治体が協力を拒否している悲しい実態がある」と改憲に結び付けた事実と異なる発言し、この発言が自治体に様々影響を与えている。

 防衛省は自衛隊法97条(都道府県及び市町村の法定受託事務)、自衛隊法施行令120条を根拠に紙や電子媒体での名簿提供を求めている。ただ自治体側に対して、これに応じる「義務規定」はない。

 岩屋毅防衛大臣も2月20日の記者会見で法令を変え強制する考えは当面はないとし、現行の枠組みのなかで「協力いただけるよう努力していく」と記者団の問いに答えている。(編集担当:森高龍二)