スマートフォンやIoTの普及によって現代の生活はますますインターネットに依存したものとなってきている。インターネットによって様々なものとつながり情報を共有することは生活の利便性を飛躍的に高める一方で個人情報の流出等多くのリスクにさらされることにもなる。プライバシーの保護についてはサービスを提供する企業側の努力も重要だが、消費者側も危機感を持った自己管理が重要だ。
セキュリティソフトのノートンが先月下旬、「ノートン/ライフロック サイバーセーフティ インサイト レポート2018」を発表した。これは日本や米国、西ヨーロッパ諸国、中国、カナダ、オーストラリアなど主要16カ国を対象に行われた調査をもとにまとめられたレポートで、先月末に公表されたのは、このうちの日本の部分の概要だ。
レポートによれば、日本人の82%が自らのプライバシーの保護について「これまでになく危機感を持っている」と回答している。その一方で、半数以上の56%の者が利便性を優先し一部の個人情報を無償または有償で提供していると回答している。具体的には、「インターネット検索履歴」が44%、「位置情報」が41%などで、また身分証明の情報である「運転免許証やパスポート情報」を提供していると回答した者も32%存在する。
「個人情報とオンライン行動を保護するためにどんな対策を取っているか」との質問に対しては、「何の対策も取っていない」と回答した者の割合は34%、これは調査対象国16カ国のうち最多であり、日本人が最もプライバシー保護への自己管理をおろそかにしているようだ。
シマンテック・ノートン事業統括本部マーケティング部長の古谷尋氏は「消費者は自分のプライバシーについて自分で管理する権利を求めており、個人情報の取り扱いを誤った際には相応の処分を要求している。ただし、面倒な手間や費用はかけずに済ませたいと考えており、その結果、利便性と引き換えにリスクを引き受けている。個人情報の共有については、引き続き、利便性がその意思決定の鍵となる」とコメントしている。
ノートンは「サイバー犯罪から身を守るためのヒント」として、「疑わしい電子メールは開けない」、「フリーWi-FiではVPNを利用する」、「プライバシーとセキュリティ設定を確認する」、「パスワードを管理する」などを提案している。
生活のインターネットへの依存が深まるなか、利便性の高い生活を送るためには、プライバシー保護に関する基本的な対策をきっちり実行することが重要だ。(編集担当:久保田雄城)