中国進出企業は1891社。製造・耐久財卸売が中心。米中摩擦が懸念

2019年05月16日 06:22

画・中国進出企業は1891社。製造・耐久財卸売が中心。米中摩擦が懸念。

米中貿易摩擦が激しさを増している中、東京商工リサーチが「日系企業の中国進出状況」を調査。中国進出の企業は1891社、4380拠点を展開。産業別には製造業が半数。業種別には耐久消費財の卸売が最多。

 世界的に株安の傾向が進んでいる。この背景には米中貿易戦争の激化への懸念があるとされる。5日にはトランプ大統領がさらなる制裁措置として約6千品目にもおよぶ関税を10%から25%に引き上げる方針を表明した。対象品目は自動車関連や機械、家電など多岐にわたり、米中経済の後退だけでなく日本も含む世界的な経済失速につながる懸念も出てきた。中国には多くの日系企業が進出しており、これらの企業が少なからず米中貿易戦争の影響を受けることは間違いないであろう。

 これに関連し10日、東京商工リサーチが「日系企業の中国進出状況」について調査した結果を公表している。調査結果によれば、中国に進出している日系企業の数は1891社、拠点数は4380拠点となっている。

 産業別に拠点を見ると、製造業が全体の49.9%を占める2187拠点で半数を占め、次いで卸売業の1068拠点、24.3%、サービス業が678拠点、15.4%とこの上位3産業で全体の9割近くを占める。これ以下、運輸業203拠点、4.63%、金融・保険業105拠点、2.4%、小売業78拠点、1.78%と続く。

 さらに産業を細分化した業種別では、自動車や電機などの大手メーカーを中心とする耐久消費財の卸売業が716拠点、構成比が16.3%で最も多く、次いで情報処理や広告などの事務関連サービス業の456拠点、10.4%、電気機械器具製造業の415拠点、9.4%。一般機械器具製造業401拠点、消耗品卸売業352拠点、輸送用機械器具製造業321拠点などとなっている。

 支配権最上位企業は1891社で、本社所在地を都道府県別に見ると東京都が687社で全体の36.3%を占め最多となっており、次いで大阪府の304社で16.0%、愛知県が176社の9.3%で、東京、大阪、愛知の3大都市圏とその周辺の県に集中している。

 進出の目的は単なるコスト削減だけでなく、大市場をターゲットにした「地産地消」を狙っていると考えられ、また、トヨタ自動車は新工場建設など大規模投資を含む増産を計画し、三菱電機は中国の製造業の智能化拡大を支援するビジネスを発表するなど、中国政府が2015年に最先端分野で世界首位を目指す製造業強化戦略「中国製造2025」に協力や提携といった形で深く関わっている。今後、こうした動きにも見直しが行われる可能性もあり、米中協議の動向から目が離せない状況だ。(編集担当:久保田雄城)