失敗を恐れる若者たち 仕事上の不安は絶ち切れるのか

2019年05月28日 06:55

画・失敗を恐れる若者たち 仕事上の不安は絶ち切れるのか

日本能率協会は新入社員向け公開教育セミナーの参加者を対象にして仕事に関するアンケートを行った。現代の若者には仕事上の失敗を恐れている傾向が見られる。

 最近の若者は昔に比べて向上心がない。やる気がなくなった、覇気がなくなった、忍耐力もなくなってきている。こういった厳しい指摘を人生の先輩から受ける事は、どの時代の若者であっても多くが経験することだろう。平成から令和に変わった現代の若者も同様である。前の世代と自分を比べ、劣等感を抱いてしまうこともあるはずだ。上手くやれるのだろうかと言う不安を自分の中に溜め込みながら、日々の仕事をこなしている若い世代も少なくないのかもしれない。

 日本能率協会では、新入社員向け公開教育セミナー参加者に対して平成最後の新入社員像に関するアンケート調査を実施した。仕事をしていくうえで不安に思う事を質問した結果、43.0%で同率1位となった回答は「仕事での失敗やミス」、「上司・同僚など職場の人とうまくやっていけるか」であった。

 新人がミスをするのは当たり前だと考えている上司や先輩は多いだろう。しかし現代の若者は、ミスを犯してしまう事に対して非常に大きな恐怖感を持っている。とは言え失敗を恐れるがゆえに挑戦を放棄する訳ではない。仕事をしていくうえで強化したいと思う点に関するアンケートには、「チャレンジ精神」という回答が第4位に来ていた。同質問に対する上位3位の回答は、上から「コミュニケーション力」「業務上必要な専門知識・技術」「ビジネスマナー」となった。上司や先輩と失礼のないコミュニケーションを図りながら知識や技術を磨き上げ、新しいことにも挑戦していきたいと思う気持ちの表れかもしれない。失敗を恐れる若者達は、生真面目な熱意を持っている人が多いとも考えられるだろう。

 仕事上の失敗はたとえ新人ではなくとも起こり得る。しかし失敗に対する不安をどれだけ自分の糧にできるかにより、確かな実力を身に着けながら成長していく事が可能だ。今回のアンケートでは人事担当や上司に対しても聞き取りを行ったが、働くうえでの不安を調査したところ、「新人の失敗やミス」は上位回答から漏れて7位という結果となった。部下を管理している上司は、新人の失敗をある程度考慮したうえで業務上の指示を出すだろう。新人は失敗ばかりを恐れず、上司は新人をフォローしながら、挑戦できる職場環境を作っていく事が重要かもしれない。(編集担当:久保田雄城)