自衛隊明記は現状追認の範囲を明らかに超える

2019年06月04日 07:20

 安倍晋三総裁を筆頭に憲法9条への「自衛隊を書き込む」に前のめりに強い姿勢を見せる自民党内の勢力に、石破茂元幹事長は書き込むことに対する疑問や課題への議論が低調なまま、改憲を掲げ、選挙に臨むことは「責任ある政治の姿勢として極めて問題だ」と断じた。

 石破元幹事長は井上武史関西学院大学教授の論説を紹介し「「自衛隊を国家組織として憲法に登場させれば、憲法にその権限も書かねばならないし、内閣や国会、司法との関係も書き込まねばならなくなる。それは安倍首相が言ってきた『現状を追認する』という範囲を明らかに超えることになり、もはや『現状の自衛隊』ではない」としていること。

 「(従来の『必要最小限』ではなく)『(必要な)自衛のための措置』という言葉を用いることは、日本の自衛権や戦力の拡大につながるのではないかという新たな懸念を生む可能性がある」こと。

 「『今ある自衛隊を書き込むだけです』という為政者の説明が、多くの国民や国会議員にとってとても分かりやすいという点には注意が必要であるが、それが法理論的にいいかどうかは別の問題である」と述べておられます(2018年4月13日・神奈川新聞他)。

 石破元幹事長は「まさしくその通り」としたうえで「この点についての議論が全く低調なまま、改憲を掲げて国政選挙に臨むことは責任ある政治の姿勢として極めて問題であると考える」と議論が不十分なまま、改憲を掲げ、選挙に臨むのは問題だと強く提起している。(編集担当:森高龍二)