これぞ、最先端の電子工作! 気軽に参加できる「ハッカソン」の魅力

2019年06月16日 12:33

ハッカソン

ローム株式会社が主催するプロトタイプコンテスト「ROHM OPEN HACK CHALLENGE」2018年ハッカソンの様子。気軽に参加できるハッカソンは日本各地で開催されている

 近年の電子機器の発展には目覚ましいものがある。その代表的なものの一つが「ドローン」だろう。インプレス総合研究所が発表した「ドローンビジネス調査報告書2019」の推計によると、2018年度の日本国内におけるドローンビジネスの市場規模は931億円。前年度比85%増となった。しかも、今後も増加傾向にあり、2024年度にはなんと18年度の約5.4倍にあたる5073億円にまで膨れ上がると見られている。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いだ。

 各種検査や農業など、ビジネスへの活用だけでなく、ドローンは個人でも気軽に購入できるようになった。手のひらサイズのドローンなら、わずか数千円で手に入れることもできる。数年前まで「未来の道具」だったものが、どんどん日常に入り込んできている良い例だ。

 でも、ドローンを「購入しよう」と思う人は多くても、「自分で作ろう」とまで考える人はまだまだ少ないのではないだろうか。日曜大工じゃあるまいし、そんなもの自作できるわけがない。そう考えるのが普通だ。ところが、実は専門のエンジニアでなくても「電子工作」に興味をもって少し勉強するだけで、一般の学生でもオリジナルのドローンが作れてしまうとしたら、どうだろう?しかも、作れるのはドローンだけではない。超小型のシングルボードコンピューター「Raspberry Pi」(通称:ラズパイ)や「Arduino」など市販されている電子基板やセンサを用いれば、高性能なデジカメや話題のハイレゾプレイヤーなども自作できてしまうのだ。さらに、そこに柔軟な発想力とヒラメキが加われば、今まで見たこともないような画期的な電子機器を発明したり、世の中を変えてしまうような新製品を生み出すことだって夢ではない。

 そんな電子工作を手軽に楽しめて、ユニークなアイデアを発掘できるのが「ハッカソン」だ。

 ハッカソンとは、ソフトウェア開発分野のエンジニアなどが集まり、一定の期間内に共同で、サービスやシステム、アプリケーションのプロトタイプなどを開発するイベントのことだが、最近では一般の社会人チームや学生チームの参加も増え、それに伴って認知も増しており、日本各地で様々なハッカソンが開催されるようになってきた。

 例えば、「石巻から1000人のIT技術者を育成する面白さ」をテーマに開催されている宮城県石巻市の「石巻ハッカソン」では年々、学生の参加も増えており、2018年度は共同ワークショップでデザインとプログラミングを基本から学んだ東京の高校生5名が、マイクロコンピューター「micro:bit」を使って、物や人が近づくと、センサーで音が鳴る装置を発表するなど、未来のエンジニアたちが続々と誕生している。

 また、6月15日に大阪梅田で開催された「デジットハッカソン」は、初心者からプロまで幅広く参加を募ったハッカソンで、一般の人や他業種のエンジニアが電子工作やモノづくりに興味を持ってもらえるようなきっかけづくりを目的としたものだ。同イベントでは通常のハッカソンのようにプレゼンやデモで優劣を競うことはせずに、各々の協賛企業が成果物を表彰する。

 そして、企業主体のハッカソンも積極的に開催されている。ハッカソンだけでなく、数ヶ月単位の開発期間をもうけたプロトタイプコンテストも実施し、プロアマ問わず最も注目されているのが「ROHM OPEN HACK CHALLENGE」だ。同イベントは 電子部品企業のロームが2016年から継続して開催しているもの。無償でロームのデバイス貸出を受けられるのはもちろんのこと、他のハッカソンと決定的に異なるのは、必要に応じて同社のエンジニアから開発アドバイスを受けられることと、優秀作品に贈られる魅力的な特典だ。現在まさに応募受付中の「ROHM OPEN HACK CHALLENGE 2019」で優秀と認められた作品には、賞金が準備されているだけでなく、日本最大のエレクトロニクス総合展であり大手からベンチャーまで最先端技術を誇る企業が集まる「CEATEC 2019」のロームブースで作品を展示してくれるという。事業化など次のステップに駒を進めようと考えていたり、ビジネスチャンスを狙おうとするにはまたとない機会となるだろう。そのほか、日本最大級の開発コンテスト「MashupAwards2019」や、日本最大級のハードウェアコンテスト「GUGEN2019」でのシード権も獲得できる。7月6日、7日には、公式ハッカソンも実施されるというから、まずはハッカソンに気軽に参加し、本コンテストへの応募を検討してみるのもいいかも知れない。

 ここに挙げたものだけではなく、多くのハッカソンでは初心者や学生、一般の社会人などの参加を歓迎しているムードがある。むしろ専門家でない素人だからこそ生み出せるアイデアもあるし、業界も新鮮な発想を求めているようだ。素人が作る最先端の電子工作が、未来を大きく変えてしまうかもしれない。(編集担当:藤原伊織)