世界的にAI・IT関連の人材が不足している。今世界の企業はデータサイエンティストをはじめとするAI・ビッグデータ人材の凄まじい争奪戦を行っているという。既に外部からの調達をあきらめて内部人材の知識獲得に多額の資金を投下している企業も増えているようだ。
昨年11月にイギリスの人材会社のヘイズがAI・ビッグデータ等で必要とされる専門性の高い人材の賃金上昇率が日本では著しく低く、日本は世界一スキル不足の国と評価した。日本ではかねてからIT人材の絶対的な不足が問題視され、このままでは日本は産業崩壊を起こすとまで指摘する専門家もいる。今、新たにAI、ビッグデータなどの登場により、この高度人材の不足はより深刻となっている。
マイナビが2020年卒業予定の大学生、大学院生7342名を対象にAI推進社会の中で、自身の働き方についてどのように考えているのかを4月に調査し、今月4日にその集計結果を「マイナビ AI推進社会におけるキャリア観に関するアンケート」として公表している。
集計結果によれば、学生全体の75.4%が「AI・IT関連の職種を志望しない」と回答しており、理系男子では67.1%、理系女子では81.0%と特に女子で「志望しない」との回答が多い。「AI・IT関連職種を志望する」と答えた者の志望職種を見ると「システムエンジニア」が12.9%で唯一10%を超えており、次いで「プログラマー」が7.8%と旧来型の職種が上位で、続いて「ITコンサルタント」が6.5%となっている。AI、アナリティクスで重要な役割を果たし、世界中で人材の争奪戦が起きている「データサイエンティスト」にいたってはわずか3.3%でほとんど関心が持たれていない状況だ。
AI推進社会の評価については33.3%と3人に1人が「業務効率が上がるだろうと期待している」と肯定的に捉えているものの自ら志望する者は僅かだ。志望しない理由については「どの程度プログラミングスキルを求められるのか基準がわからない」が61.1%と断トツで多く、「AI・IT関連の職種で必要とされる能力がわからない」も24.4%と4人に1人おり、企業側の情報提供や大学側の教育にも問題がありそうだ。
このレポートを見る限りAI・ビッグデータ関連の人材の調達を国内だけで行うことは将来に渡って絶望的に不可能なようだ。(編集担当:久保田雄城)