世界のCEO、在任期間が短縮。「機動性ある経営が重要だ」7割

2019年06月18日 07:24

画・世界のCEO、在任期間が短縮。「機動性ある経営が重要だ」7割。

KPMGインターナショナルが「KPMGグローバルCEO調査2019」の結果を発表。CEOの在任期間は短縮し、機動性ある経営が重要に。成長リスクのトップは前年の保護主義への回帰から環境・気候変動に。

 テクノロジーの進化が加速しているのに伴い世界の政治経済的な状況も急変している。これに伴って経営環境の変化も加速し、企業も即時に実績を出さなければ時代に取り残されてしまう時代だ。こうした背景もありCEO(最高経営責任者)の在任期間も短縮しているという。

 オランダに本部を置く監査法人のKPMGインターナショナルが世界主要11カ国の約1300名のCEOを対象に今年1月と2月に意識調査を実施、4日にその集計結果を「KPMGグローバルCEO調査2019」として公表している。

 調査結果によれば、グローバルCEOの67%が「以前より在任期間が短くなっており、機動性をもった行動がより一層求められている」と答えている。急速に変化する市場に即応し結果を出す必要性がますます高まっていると世界のCEOは感じているようだ。

 「成功の持続可能性のためには財務的成長の先を見据えるべき」と考えるCEOの割合は、グローバル全体で55%に対し日本は44%となっている。グローバル経済の見通しについては、「今後3年間は成長する」と回答した割合は、グローバル全体で62%と18年の67%から低下しているが、日本のCEOでは昨年の85%から今回の62%とさらに大幅な減少となっている。世界でも日本でも警戒感が強まってきているようだ。

 自社の成長に脅威をもたらすリスクとしては、世界でも日本でも「環境・気候変動リスク」が1位となった。昨年の世界と日本でともにトップだった「保護主義への回帰」は世界では3位、日本では2位となった。政治的リスク、サイバーリスクよりも気候変動リスクが企業にとってより脅威となったようだ。

 ディスラプション(業界の破壊者)になるための取り組みについては、グローバル全体では昨年の54%から今年の63%と9ポイント増加しており、日本においても昨年から11ポイント増加し59%となっている。しかし他国と比較すると11か国中7番目で日本での取り組みが相対的に遅れていることは否めない。

 AI導入については、AI自動化済みとの回答はグローバル全体でもわずか16%、31%は未だパイロット段階だ。日本では12%、これに対し米国では31%で特筆すべき点だ。成長戦略については、世界のCEOは「第三者との戦略的提携」がトップだが、日本では「有機的成長(既存事業の再編・拡大)」が1位となっており、M&Aも「適度な程度」にシフトしている。(編集担当:久保田雄城)