ラピスセミコンダクタがスマートメータ向け無線通信LSI開発

2011年12月26日 11:00

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ロームグループのラピスセミコンダクタは、その基幹部品となる通信用LSIを同社の得意とするRF-CMOS1チップ技術を用いて、特定小電力無線局用の無線通信LSI「ML7396」として開発、サンプル出荷を開始した。

 近年、地球温暖化を抑制するために低炭素化社会の実現が世界的な課題となっており、各国でエネルギーの効率的な利用に向けた取り組みが拡大している。キーとなる装置は、通信機能を有するスマートメータやスマートタップ。世界的にもスマートメータに適した無線通信規格としてIEEE802.15.4g(米国の標準化団体IEEEで規格化されたスマート・ユーティリティ・ネットワーク向けの無線規格)が策定されており、日本国内でもスマートメータ用の周波数帯域(950MHz/920MHz)開放により、スマートメータの立ち上げは加速されていくと予想されている。このような動きの中で、遠隔検針や制御、エネルギーマネージメントで必要となる通信機能は必須であると考えられていた。

 そこでロームグループのラピスセミコンダクタは、その基幹部品となる通信用LSIを同社の得意とするRF-CMOS1チップ技術を用いて、特定小電力無線局用の無線通信LSI「ML7396」として開発、サンプル出荷を開始した。同LSIは、特定小電力無線局の950MHz帯標準規格(ARIB STD-T96)及び2012年7月に本格的に開放される920MHz帯に使用、業界最高水準の受信感度と低消費電力を実現する。

 スマートメータシステムのような複数社の製品でシステムが構成される場合は、安定的な運用のため標準規格を用いて相互接続性を確保することが必要。「ML7396」は日本の無線規格を満たすことはもとより、IEEE802.15.4d(低消費電力を特徴とするIEEE802.1.44規格の日本の950MHz帯域用に拡張された仕様。現在は、IEEE802.15.4iとして規格統一されている)およびIEEE802.15.4gの物理層に準拠することで、同規格に準拠する製品との相互接続が保たれる。また、受信感度は業界最高水準の-105dBm (100kbps時)で、内蔵のエラー訂正機能であるFEC機能(送付すべきデータに冗長ビットをつけて送付し、誤りがあった場合訂正を行う機能。1/2の畳み込みを使う為、アプリケーションから見たデータレートは半分になる)を使うことによってさらに受信感度を向上させることができる。(800byteのパケットエラー換算で約3dBアップ)送信出力も920MHz帯スマートメータ向けの20mW(13dBm)をLSI 単体で出力することが可能。パッケージは6mmx6mmの40ピンWQFNパッケージを採用している。

 今後もラピスセミコンダクタは、小電力セキュリティ無線局や特定小電力無線局機器で利用できる400MHz帯域、900MHz帯域およびワールドワイドで使用可能な2.4GHz帯域の無線通信LSIの商品ラインアップ拡充を図っていく。

 なお、同LSIは2012年4 月より月産100万個の体制で量産出荷を開始する予定となっている。