政府主導の女性活躍推進政策が推し進められている。働き方改革においても女性、特に子育て中の女性に配慮した職場改革が多くの企業で進んでいる。これに加え全般的な人手不足の中、女性の就労比率、とくに子育て世代の女性の就労比率は大きく増加傾向で推移している。
2日、総務省が「女性活躍の推進に関する政策評価<評価結果に基づく意見の通知>」を公表した。
2016年4月に女性活躍推進法が全面的に施行されたが、これによって常用労働者数300人以上の企業は女性活躍に関する数値目標等を定めた事業主行動計画の策定とその見える化された情報の公開が義務付けられ、中小企業は努力義務とされた。この法律では施行後3年を経過した時点でその成果に基づき必要な措置を講ずるとされている。今回発表された政策評価は上記の法規定に基づき、法施行後3年の見直し等を見据え、企業での取り組みや成果の実情を把握するために行われた調査に基づく。
政府は女性活躍推進政策の取組を経済の持続的な成長にむすびつけるため「未来投資戦略2018」を策定し、この中で施策の目標値としてKPI(重点業績評価指標)を設けている。このKPI(目標値)と18年における現状(実績値)を見ると、「上場企業役員に占める女性の割合」の20年KPIが10%であるのに対して18年実績は4.1%、「民間企業の課長相当職に占める女性の割合」はKPIが15%に対し実績は11.2%、「25歳から44 歳までの女性就業率」のKPIが77%に対し実績は76.5%、「第一子出産前後の女性の継続就業率」はKPI55%に対し実績値53.1%となっている。
「課長相当職比率」、「女性就業率」、「出産時継続就業率」の3目標については好調で20年の目標実現が可能な現状のようだが「役員比率」については未だ目標の半分にも至っておらず再検討が必要なようだ。
また実績値は産業ごとにバラツキも大きく 各産業における女性労働者比率や女性管理職比率(部長級及び課長級)をみると、建設業、製造業、情報通信業、運輸業、郵便業など女性労働者比率が低い産業では女性管理職比率も低く、逆に医療・福祉など女性労働者比率が高い産業では女性管理職比率も比較的高い傾向となっている。
こうした実情を踏まえ厚労省は「取組は産業の特性や各事業者における女性活躍の局面等によって、その内容や手段等が異なっていることを踏まえ、事業者における女性の活躍をより一層推進する上では、このような事業者が置かれた様々な状況に対応した支援を行うことが適当である」と意見を述べている。(編集担当:久保田雄城)