環境に対する配慮が世界中で叫ばれている中、多くの国々で異常な高気温が観測される事も近年では少なくない。国内でも日本の夏は暑いと言った認識が共通しており、ここ数年における異常気象を多くの人が実感している事だろう。高温に加えて湿度も高くなりやすい日本の夏は、人の体力をじわじわと奪う酷暑として表現するより他になくなってきている。
熱中症に関する意識・実態調査2019を実施し、その結果を発表したのはタニタである。今や日本では災害レベルの高気温を観測する事も稀ではなくなってきた。そのため気象庁でも体調管理についての注意喚起を行っているが、熱中症の危険度に関する判断は何を材料にしているかと言う問いに対して、79%の人はテレビの天気予報と回答していた。
しかし信頼できる情報を得られたとしても実際に注意するのは自分自身である。情報を得たうえで正しい対策を行わなければ危険は防げない。たとえばスポーツ観戦中に熱中症の危険性を意識している人は4人に1人いる事がアンケートによって判明したが、その一方で家事や入浴の際に熱中症の危険を意識できる人は10%に留まっている。明らかに暑いと分かる場所にいるときには注意を払えても、室内になると途端に油断してしまう人が多いことが窺える。
酷暑が常態化している日本では熱中症という言葉を聞いてピンとこない人はほとんどいないはずだ。暑さによって体温が上がり様々な身体症状を引き起こす危険性は誰もが認識しているだろう。だが実際に自分が熱中症を引き起こしているのかどうかを判断できる人は意外にも多くない。今回のアンケートは15歳から69歳までの男女を対象に行ったが、有効サンプル1,000件のうち熱中症の経験があると答えたのは22%だった。ところが熱中症未経験と回答した人のうち70%は熱中症の症状にも該当するめまいやだるさ経験したことがあると判明し、本人に自覚がないだけで実際の熱中症経験者は77%に及ぶとも推測されている。若い人でも年配の人でも熱中症を引き起こすリスクは誰にでもある。夏に備えて正しい知識を蓄えておく必要があるだろう。(編集担当:久保田雄城)