危険な領域までの温度上昇が連日続く中でも、電力供給は需要に対応できている。世耕弘成経済産業大臣は24日の記者会見で「電力需要が増加しているのは事実だが、日本全国全てのエリアにおいて需要に対して十分な供給力を確保している」と述べた。
加えて「今後、どこかのエリアで電力不足のおそれがある場合、電力広域的運営推進機関の指示に基づいて各電力会社間で電力融通を直ちに行う仕組みも整えている」と述べ「今全国いずれのエリアにおいても十分な供給力は確保されているし、今後も確保される見通しであり、今節電をお願いするような状況には全くないので、エアコンをしっかりかけて、熱中症にかかることがないような取り組みを最優先でやっていただきたい」と語った。
原発は7月12日現在で再稼働しているのは9基のみ。原子炉設置変更の許可が下りているのが5基。新規制基準適合審査中が12基、申請されていないものが12基、廃炉決定かその見込みが22基となっている。
この状態で電力需要を満たしているにもかかわらず、新エネルギー基本計画では2030年のおいても原発が電源の22%~20%(約原発30基に相当)を占めることを設定している政府の姿勢に「原発依存度をできる限り低減する」との公約との整合性が取れないとの批判もある。
一方、原発を進めたい電気事業連合会はこの新エネルギー基本計画が閣議決定された今月3日「2030年度の電源構成の中でも原発が22%~20%を担うとともに、原子燃料サイクルについても推進することが確認された」と安ど感をみせた。
電事連は「2050年の長期的なエネルギーの将来像の中でも、原子力発電は『実用段階にある脱炭素化の選択肢』と位置づけられた」と長期でも原発生き延びを示す政府の計画に「原子力の将来を切り拓くという決意を持って、安全性や経済性の追求に絶えず挑戦することで、将来の新増設やリプレースにも備 えてまいりたい」などと新増設に意欲を見せている。原発をどうするか。
東京電力福島第一原発事故から7年を経た今も、福島県では浪江町、双葉町、大熊町などとその周辺一部地域は帰還困難区域とされ、立ち入り制限されている。生態系への影響も懸念される。このような危険な原発を原発産業界のために今後も認めるのか、人類目線で再考する必要が求められている。(編集担当:森高龍二)