秋の消費税増税を前に景気動向への関心が高まっている。様々な指標で景気後退を懸念させる傾向が出てきている。先月の貿易統計では米中貿易摩擦の影響で景況の牽引役であった生産用機械の輸出が大きく落ち込んでいる。
消費税の影響を考えるとき最も重要な指標は言うまでもなく消費関連指標だ。4月の家計調査の消費支出は1.3%の増加であるが伸び率は低下している。5月の小売業販売額も1.2%の増加だが、やはり昨年末から減速傾向だ。
1日、内閣府が消費動向調査の6月分を公表している。6月の消費態度指数は38.7で5月の39.4から0.7ポイント低下し2018年はじめからの低下傾向が持続している。特に昨年末からは低下の傾斜も大きくなっている。
消費者態度指数を構成する意識指標を個別に見ると「暮らし向き」が36.3で前月に比べ1.1ポイント低下、「収入の増え方」は5月と同じ39.8で横ばい、「雇用環境」は43.0で0.3ポイント減少、「耐久消費財の買い時判断」は35.6で1.6ポイントの低下と「収入の増え方」の横ばいを除き全ての意識指標で前月比がマイナスとなっており、また人手不足の背景がある「雇用環境」を除き40を大きく下回る悪化となっている。長期的な推移を見るとこの低下傾向は全ての意識指標で18年はじめから持続しており、昨年末からは落ち込み幅も大きくなっている。
回答区分別の構成比を見ると「変わらない」が「暮らし向き」で48.7%、「収入の増え方」61.1%、「雇用環境」59.7%と半数近くかそれ以上で最も多くなっている中で「耐久消費財の買い時判断」が36.5%で「やや悪くなる」の43.5%より小さくなっている。これは先月5月からであるが二つの差はさらに広がった。前月との差を見ると「暮らし向き」で「変わらない」が2.5ポイント減少し「やや悪くなる」が2.3ポイント増加、「耐久消費財の買い時判断」で「変わらない」が2.9ポイント減少で「やや悪くなる」が2.0ポイント増加と耐久消費財での悪化が目立っている。
1年後の物価に関する見通しでは「2%以上~5%未満で上昇する」が40.3%で最も多くなっており「上昇する」全体では87.9%と大多数が物価上昇を見込んでいる。
消費税増税で景気全体が後退した例は過去には無いというものの、増税で最も心配されるのは消費低迷であり消費態度指数を見る限り増税後の消費の落ち込みが心配だ。(編集担当:久保田雄城)