米フォード・モーターと独フォルクスワーゲン(VW)は、電気自動車を含む世界規模の提携をさらに拡大すると発表した。この提携では、Argo AI(アルゴAI)と協力して米国およびヨーロッパに自動運転技術を導入し、両社の競争力や、コストおよび投資の効率性を向上させながら、より良いサービスをそれぞれの顧客に提供することを目指す。
内容は、自動運転車のプラットフォームを開発しているArgo AIに、VWとフォードが共同で出資するというものだ。先般発表したVWとフォードの提携は今回、Argo AIに対する共同出資へと発展したが、この提携は両社間で株式を持ち合うものではない。.
VWは、Argo AIに合計26億ドルを出資。その内の10億ドルは、Argo AIに対する資金提供で、残りは、評価額16億ドルとされるVWグループ子会社Autonomous Intelligent Driving(AID)とArgo AIの統合によって提供する。200人以上の従業員を抱えるAIDは、VWグループ向けの自動運転テクノロジー開発企業だ。
ドイツのミュンヘンに拠点を置くAIDは、Argo AIの新しいヨーロッパ本社となり、AIDの現在のCEOであるカールハインツ ヴルムが責任者に就任する予定。500人の従業員を擁するArgo AIは、AIDとの統合で700人の従業員を抱える研究開発企業へと成長を遂げる。
また、今回の提携の一部として、VWは、今後3年間でフォードから5億ドル分のArgo AI株を購入する予定だ。フォードは、以前に発表したArgo AIに対する10億ドルの現金投資のうち、残りの6億ドルの投資も今後実施する予定だという。 両社の投資によって、Argo AIの評価額は70億ドル以上となる。
フォードとVWが提携を拡大することで、Argo AIの自動運転システム(SDS)は、ヨーロッパと米国で商業展開される最初の自動運転システムとなる予定だ。VWとフォードは、自動運転への取り組みを推進するため、Argo AIのSDSを、それぞれのブランドの車両に差別化して搭載する。Argo AIのSDSは、大都市におけるライドシェアリングや配達サービスに利用できる「SAEレベル4」の自動運転システムを目指している。
また、VWとフォードはVWが開発した電気自動車専用のMEB(モジュラー・エレクトリック・ツールキット)を使用し、2023年にヨーロッパで量産電気自動車の販売を開始することも併せて発表した。VWは、2016年にMEBの開発を開始し、約70億ドルを投資した。同社は、このプラットフォームを使用して、今後10年間でVWグループだけで、約1500万台の車両を生産するとしていた。
先ごろ発表されたとおり、フォードとVWは、商用バンと中型ピックアップの共同開発計画を順調に進めていて、車両を共同開発することで効率性が大幅に改善され、中型ピックアップトラックの開発・製造を順調に進めているという。(編集担当:吉田恒)